雲海のある風景
山ではよく雲海を見ることがあります。雲が海のように漂(ただよ)い、ほどよいピークが島のように浮かびあがります。
山城が雲海に浮かんでいる風景が評判になりましたね。
雲海が発生するには気象の条件が揃ったときで、ただ待っているだけでは発生しません。なので、出逢ったときは、偶然のチャンスですね。
AIの概要にもあるように、雲海が出ていても、その中や下では「雲海」として見ることはできません。山の上や、飛行機から見ることになります。
山で見るとき、早朝からが多く、大気が温まってくると、雲は次第に消えてゆきます。
このチャンスをどのようにカメラに収めるか、私はその時の気象条件によって表現を変えるようにしています。
暗い中、雲海にスポットな光が入り、それによって浮かび上がるように構図してみました。
大気が温まるにしたがって、雲海は少しずつ「さようなら」を言って去って行きます。こんなとき私は「雲よ、演出ありがとう」と心の中で呟(つぶや)いています。
山はそこにあり、動きません。
雲は、風や温度などによって動き、変化してゆきます。
その動きの中で、動かない山は、動くのです。
動かない山を、雲は演出してくれるからです。
山は主役、雲は演出してくれる脇役とでも言うのでしょうか? それによって、山は一層威厳を表出することができるのです。