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部下と会話をする際「なんで」の使い方を間違えるとパワハラになります。

「なんで〇〇をしなかったの」
仕事を進める上で、部下の考え方や進め方を把握するために「なんで」から始まる質問をされる方がいらっしゃいます。
1回だけではなく、何回も「なんで」を使った話し方をされている方は、はっきり言って危険です。
今すぐやめた方がいいでしょう。
登場人物は仮名ですが、私が目撃したことのある実例で説明をしますので、この機会に、なぜ危険なのか考えてみてください。

■登場人物
・山田さん(上司)
・佐藤さん(部下)
■前提
2人は人事管理サービスを扱っている企業に勤めています。
佐藤さんは、導入を検討しているクライアント(A社)との打ち合わせがあることを事前に山田さんに報告し、提案方法に不安があることも伝え、打ち合わせの対策をしてもらっていました。
その内容は、A社の『予算感』と『検討してもらう上でネックになっていること』を聞き出す方法です。
佐藤さんがA社との打ち合わせを終えて戻ってきました。
山田さんは、佐藤さんがどのように提案し、打ち合わせをしたのか聞き出そうとしています。

山田「お疲れ様。A社どうだった?」
佐藤「お疲れ様です。予算は問題なさそうでしたが、導入の権限を持っているのが取締役らしく、忙しいみたいで、いつ検討してもらえるのか分からないそうです。」
山田「らしくって、、、打ち合わせした人が窓口じゃないのか?」
佐藤「秘書がまた別にいて、その人じゃないと取締役と連絡が取れないと言われました。」
山田「じゃあ、その秘書の連絡先は教えてもらったんだろうな?」
佐藤「聞いていません。」
山田「なんで聞かなかったの?」
佐藤「聞き忘れました。」
山田「なんで聞いていないのさ。」
佐藤「打ち合わせした人が、秘書に聞くと言ってくれたからです。」
山田「それで取締役に話がちゃんと行くのか?」
佐藤「分かりません。」
山田「なんで分からないの。分からないとダメじゃない。」
佐藤「すみません。」
山田「すみませんじゃなくて、なんで連絡先聞かなかったの。」
佐藤「聞き忘れました。(え、さっき言ったじゃん、、、)」
山田「なんで聞き忘れるの。」
佐藤「…。(いつまで続くのこれ?)」
山田「黙っていないで、なんで聞き忘れたのって聞いているの。打ち合わせしたのに。」
佐藤「…。(誰に聞けなんて打ち合わせの時に話していないわ)」

山田さんは、誰に、何を聞けば話がスムーズに進むのか、瞬時に頭の中で整理できましたが、佐藤さんは何をどう改善すれば良かったのか、理解できていません。
山田さんは佐藤さんに気が付いて欲しくて、考えてもらおうと「なんで」を繰り返し使ってしまいました。

「なんで」を繰り返し使うことで、質問する側は【結果論】で話をすることになります。
そうなると、質問する側が上の立場、質問される側が下の立場に立って話します。
こうなってしまっては、質問される側は何を言っても「言い訳」のような発言になってしまうため、質問がいつの間にか「なんで」を乱用する詰問になってしまうのです。
この時、質問される側はどう思うでしょうか。
「そうか、秘書と繋がれば良かったのか。山田さんの指導は適格だな」
なんて思うわけありません。
「何言ってもこの人には無駄だ」か「パワハラされている」と思っているでしょう。

では、どうすべきだったか。それは、
「佐藤さんのいけなかった行動・言動を伝え、佐藤さんの立場だったらこう行動した・こう話した・提案した」
と具体的に伝えてあげればよかったのです。そして、
「ちなみに、なんで秘書と繋がろうと思わなかったの?」
と考え方について聞いてあげてください。
行動ではなく、思考について質問すれば、どう考えて物事を進めようと思っていたのか、把握しやすくなりますよ。

○○ハラスメントといろいろ言われている昨今、いくら優しくしようと心がけても、聞き方一つで無駄になります。
若手は優しくして欲しいのではなく、働きやすくして欲しいのです。
自分で気が付けという昭和のやり方はもう古いです。
「ハラスメントをする人」と思われたいですか?
私は嫌です。
この機会に、何回「なんで」を使用しているか考えてみてください。

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