「切れば切るほど赤字になる」林業の課題 【7/6定例会議】
「切れば切るほど赤字になる」今林業業界では深刻な経営状況と山の保存状況が叫ばれています。SDGsで注目も集まる中、どうやってこの林業に向き合うかが課題となっています
7月6日のオープン会議では、林業を専門とする地域の方、従業員数100名を抱える地元経営者の方から、それぞれご提言を頂きました。
以下、会議の議題の一部をご紹介します。
森林、林業の現状
森林資源が豊富といわれる日本では、国土面積のうち森林率は世界平均の2倍以上(68%)を占めている。
しかし木材生産に関しては外国材よりも生産コストがかかり、国産材は産出額が低い状態が続いている。
働く人は ピーク時の12万人から4.2万人に減り、
高齢化が進み 平均年齢は全産業平均+6歳の52.4歳。
労働災害も 全産業比10倍と多く、
育林に係る経費は 売値よりも数十万円が高い。
1産出額・減
2労働者・減
3高齢化と後継者不足
4労働災害・多
5赤字
これらの課題にどんなアプローチで取り組んできたのか、活動紹介をしていただいた。
林業課題解決の現状
国や林業関係者の分析により課題解決を目指した 2つのアプローチ が行われてきた。
1つ目は「生産経費の削減」。労働集約、機械化、ICT活用を試みた。成果が出づらいものの長期的にみると 効果がある と見込まれている。
2つ目は「木材価格の向上」。品質分析による高付加価値化を試みた。しかし50年間の市場変動が読めないなどの要因で、品質の差別化が厳しかった。
課題解決の別のアプローチ
林業は自主財源での経営が難しく、赤字分は国や自治体の補助金を利用している現状が続く。他の解決アプローチとして
・エリートツリー導入
・新業態やプロダクトの開発
・新規従事者への補助
を試みるも、未だ課題が山積しているのが現状である。
今回のyori-iプロジェクトでは、林業に向き合う多様な企業・研究機関・行政・他産業の各セクターを超えた場を提供し、事業提案を行うアプローチが求められる。
日本の美的感覚
雪が降ったとき、雪国に住むあなたはどう思うだろうか。
これは地元にあるものを美しいと捉えられるかという、美的感覚に基づくものである。
東京生活を経験した高橋さんは他にも玄関先にあるプラスチック製品などを見て、地元を形作る「個人の美的感覚」への違和感を持っていると語った。
何もない田舎か、何でもできる田舎か。
一人一人の感覚に警鐘を鳴らすことも、地方創生或いは本プロジェクトで求められていくことなのかもしれない。
次回のオープン会議は7/20(水)。テーマが決まり次第メーリングリストにて告知させて頂きます。
今回ご登壇頂いた方々
山形県最上総合支庁産業経済部森林整備課
専門林業普及指導員 荒澤佑樹 さん
アイ・エム・マムロ株式会社
代表取締役 高橋 智之 さん
ご登壇頂きありがとうございました。