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#190「不便益のススメ」

便利と思っていたら困った事になったり、不便だと思っていたら逆に良いことが起こったりします。

「不便益のススメ」という本を読んで、今まで抱えていたモヤモヤが少し整理できました。

「便利と不便」という軸と「益と害」という軸を直行させると、「便利益」「不便害」「便利害」「不便益」の四つの領域に分けられます。
最初の二つ「便利益(便利になって良かったね)」と「不便害(不便で困った)」は一般的に考えられていることですが、後の「便利害(便利だけど害がある)」と「不便益(不便のおかげで益がある)」は示唆に富む言葉です。

本書では興味深い事例がたくさん紹介されていました。
例えば、園庭がデコボコの幼稚園。普通は、園児が怪我しないように園庭は平らな方が便利です。ところが東京都立川市の「ふじようちえん」の園庭には不便な段差やデコボコをあえて設けているとのこと。そうすることでいつも足の速い子がかけっこに勝つのではなく、色々考える子が勝つようになったり、かけっこ以外の遊びに工夫する機会が増えたりしたそうです。

他には、京都市左京区を舞台にした「左折オンリーツアー」。スタート地点から目的地まで「左しか曲がれない」というルールで散策するというもの。右に曲がるには左に3回曲がらないといけないという不便があるものの、それによって細い路地に入り込み思いがけない街並みやお店に出会え、思い出深い散策になるようです。想像しただけでも面白そうです。

便利になればなるほど孤立していくことがあるなと思うことがあるのですが、「不便は関係性と多様性を回復させる試み」であるという言葉には考えさせられました。不便であれば協力するし、分け合ったりする機会が出てくるもの。

便利なコト・モノに不便を入れて新たな価値を与える「便利益」からの「不便益」、不便で困ったことに別の視点を加えて価値を与える「不便害」から「不便益」という考え方は、新しくコト・モノを作り出すときに一つのヒントになりそうです。

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