詩70 旅先は海だった
旅先は海だった
夏はさざ波ではじまり
長崎をブルーに染めた
小さな波は哀しくみえた
あの日原爆が墜ち
そして平戸に原発ができた
僕はふるさと熊本を想い
震災の余韻をさざ波のように感じる
この海は哀しみを癒してくれる
すべてが完璧で美しいシンフォニーを奏でた
汚染
汚染
汚染
美しいものは
汚染される運命にある
愛らしいものは
被爆する運命にある
人畜の非道が
ブルーをレッドに染める
汚染汚染汚染
汚されて
濁されて
毒される
政治では変えることはできない
汚染 汚染
汚染
遺伝子が破壊され
後生に続く
あの地球が誕生した奇跡から
今ここで生命のバトンを断ち切る
神を裏切り
女神を犯し
天使を汚染させる
すべてが同罪であることも知らずに
すべてが同罪であることも知らずに
時間が過ぎた
絶望と哀しみが溢れた
申し訳ないような
そんな苦しい気持ちで
遠くを見つめた
それでもそれでも
さざ波の海は
沈み行く夕陽を
美しく溶かしていく
旅先は海だった
そして8月9日11時02分の夏を想う
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