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疎遠な人達は大谷翔平だと思って喋る
思い出片想いかよ。ある日、僕は思った。
久しぶりに友人Mに出くわした。
13歳の時に、漫画を一緒に作っていた。
クラス替えを契機に僕とMは疎遠になった。
久しぶりの会話。
近況を語り合った後、僕は一言告げる。
「中一の時さ、一緒に漫画作ったよな。」
僕にとって、大事な思い出のひと時。
「あー、そんなんあったけ?あったかも。」
友人Mは苦笑いをしながら、告げた。
思い出片想いだったことを知った瞬間だ。
「夢に迷って、タクシーを呼んだ。」を読了。
燃え殻さんのエッセイ集である。
彼は疎遠になった人の間に「ぎこちなさの壁」と表現していた。また、彼は壁の乗り越え方が分からないと言っていた。
まず、疎遠な人にも種別があると思う。
一つ目は「暫く会っていない人」だ。社会人は、働く場所も違うし、対面は難しい。ずっと仲は良かったのだ。会えば話は弾むだろう。
二つ目は「色々変わって何喋ればいいか分からない人」だ。一時期、物凄く仲良しだったが、急に付き合う友人等が変わっていき、疎遠になってしまうパターン。
後者との「ぎこちなさの壁」に僕は悩んでしまう。
だが、昔の話をして、雪解けしたいものだ ( 勝手な考え ) 。
友人Mとの関係も後者に位置していた。この場合の「ぎこちなさの壁」は
学生時代にも多く生じると思う。学生というのは、価値観や周りが目まぐるしく変わるのだ。
目立たない子が目立つようになったり
目立つ子が、突然はぶられたりしたり。
Mとはノートを毎日交換して漫画を描いていた。
主人公はもやし。敵と戦い成長していく。
13歳の熱量が籠った魂のギャグバトル漫画だ。
相手の書いたエピソードに新しいエピソードで
毎日アンサーしあうので、シナリオはない。
「雑誌にのるなら、コロコロコミックだな。」
勝手にデビュー前提で考えていた。
好きな事をノート全体に詰め込み
友達と笑い合う時間は幸せだった。
14歳の時、クラス替えがあって
Mとも別れることになった。
ある日、Mのクラスに
交換漫画を持っていった。
Mのクラスの友達が
たむろっていた。
僕は手を滑らせ、漫画を地面に落とす。運悪く、開いたまま、地面に転がった。「自作漫画? うげえ。」誰かが言う。
「M、漫画、持ってきた。」僕は言う。
「誰こいつ。」誰かが言う。
沈黙が流れる。
「K、もう俺のクラスくるな。」Mは言った。
僕の漫画は突如休載が決まってしまい
自室の押し入れに、そっとしまった。
これ以降、彼に近づく事はせず新しいクラスの友達と仲良くした。中高一貫校。6年間、共に過ごす。一切Mとはクラスが被ることもなくまともに遊んだ記憶はないのだ。
彼に恨みなんてものは全くない。
ただ、モゾモゾする気持ちはある。
序盤のやり取りはフィクションである。
ぎこちなさの壁という表現を目にした時に
Mが浮かび上がった。誰にでもいるだろう。
仮に久しぶりに出くわす事があれば
交換漫画の思い出を話したい。
ただ、Mにとって思い出には数えられない
印象のない話であった可能性は存在するのだ。
思い出片想い
ピュアと認識すべきか、自意識過剰か、
発覚したら、僕は虚しい気分になるだろう。
だから、その虚しさに出会う事を恐れて
ユウキが出ないと、僕は話せないと思う。
対面でも「壁」は聳え立ったまま。
疎遠な人達は大谷翔平だと思って喋る。
本ケースの「ぎこちなさの壁」を
乗り越える僕なりの手段である。
自身の中でとことん疎遠を広げていき
上手く行けばラッキーぐらいで接する。
覚えられていなくとも仕方がないのだ。
テニスの壁打ちにも通じる。
壁まで50cm の位置でボールを打ち込めば
顔面に直撃する可能性も格段に高まる。
10mぐらい壁(心の距離)を話していれば
顔面直撃ボールも余裕で躱せるのだ。
様子を見てラリーを続けられそうか見極める。
無理なら、その話題はゲームセットすればいい。
「小学生の時、二人で練習したの覚えている?」
心の声:彼と一緒に練習した事は誇りだが
覚えていなくても仕方がないよな。
大谷「ごめんなさい。全く覚えていないすね。」
※絶対人格者なので、こんな言い回しはしない。
「かなしいぞ、スター!」
心の声:濃い思い出沢山あるよね、致しかねん!
逆に覚えていれば、喜びは爆発するだろう。
これは自身を卑下する、または他者に媚びへつらう事ではないと思う。自由に疎遠な人々を描き、自身をその中で演じさせるのだ。自由に他者に印象を持つ人間として、当然の行為。もう一度、仲良くなれれば、御の字である。心の中に踏み出すユウキを醸成し、きっかけを与えるのだ。
ユウキはつくれる。
オクビョウとカンガエスギを緩和して
ユウキが湧いてくるような商品がもっと欲しい。
花王のラインナップぐらい。