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蛭子さんが軽やかに助けてくれた
1996年11月30日(土)
水を吸いきった繊維の束か何かのように両方の脚が信じられない重さ。
この足、今度はこっち、と全身の力で自動車でも押すかのようにして、やっと歩く。大変な苦労だが、歩きたくない、とは微塵も思わない。
難渋していると、なぜか蛭子さんが現れ状況を見てとり、
「ふーん、大変だね。じゃあ、ぼくがおぶってあげるよ」
と気軽に言ってくれたので、おぶってもらった。
蛭子さんは、執拗に○から殺されかけていて、何度もわたしが助けてあげたといういきさつがある。
塔へ行くかどうか迷ったが、蛭子さんにおぶわれて行った。
そこへ○が来た。焼きもちを焼いて、わたしを殺しに来た。
○は赤色の素晴らしいドレスに身を包み、M・モンローの歌を歌ってわたしを油断させて、掴みかかってきた。
恐くはなかった。
◇歩行困難の夢で思い出せる幾つか
真っ黒のところで誰かにおぶわれていた。
わたしの足は腐って膨れ、腐臭を放っていた。心底、恐ろしかった。脚が腐ったなんて。歩けないなんて。(20歳前後)
真っ暗闇の嵐の中、わたしは泥どろになりながら墓場の坂を這い上がっていた。この夢は2度ほど見たと思う。
まっすぐな道と、白っぽい空と、枯れ草地面の広がりだけがあるところを、水に浸した紙の束のように重たい脚で歩いていた。
なんでこんなに重たいのかと思う。いくら歩こうと思っても、脚が。この状態はひどく辛い。それでも、歩きたくない、とは思わない。