赤子が落とされていた
1997年12月14日(日)
けっこう人通りがある道を右に曲がってすぐ、ごとっと動くものがあって、見ると、赤子だった。反射的に抱き上げていた。赤子はぼさぼさ頭で、白っぽくなった黄色の、なれたのを着ていた。タオルで包まれてさえいず、じかに道路に置かれていた。
赤子はとても緊張していた。背中から頭まで固まったようになっていた。だっこされ慣れていないんだと思った。
相手に預けつつ、つかまる、というふうになれなくて、脚は落ちまいとするかのように、しっかとわたしの腕を挟んでいた。
確かに、この形ならこちらも落としにくいとは思った。
交番に連れていこうと思った
片隅に物のように置かれていた子だ。親が迎えに来るとは思えない。
もしかすると、この子を育てることになるのかもしれないな、と思った。
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