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BABY BABYの季節

「イルミネーション好き?」
大都会東京の六本木を散歩してたら、隣を歩いてた友達が不機嫌そうに声に出した。
街はクリスマスムードで至るところにイルミネーションやクリスマスツリーが飾られていた。

「いや綺麗かもしれないけど、イルミネーション見にいこって誘ってくる人いるじゃん。見るだけのことをわざわざ一個の予定にするほどかな」

なるほどな。確かにそうだ。単なる景色の1部として考えたら、見るだけの予定にするほどの綺麗さではない。
友達に同意しながら、改めてイルミネーションをマジマジと見ていたら、そもそもあまり綺麗じゃないなと思った。
葉の落ちた木々にイルミネーションがグルグルと巻かれ、赤や青や緑や黄色にビカビカ光っていた。やりすぎだ。ドリンクバーのジュース全部混ぜましたみたいな光。コレは綺麗じゃない。

だけどイルミネーションの前はどこも人だかりができてていた。若い女性やカップルばかりで、みんな熱心に写真を撮ってた。
「この人らの前をゆっくり歩いたら、みんな撮り鉄みたいに怒り出すかな」
と言ったら「そうはなんないでしょ」と呆れたように返された。
割と面白いことを言えたと思ったんだけどなあ。

その友達と飲んで、終電間際で帰った。帰り道の公園で街灯に照らされたイチョウが綺麗だった。
でもコレはイルミネーションとか関係なく、そこに群衆がいないからなのかなって思った。
イルミネーションも綺麗は綺麗で、でも人が邪魔してるんだと思う。他に誰もいなかったら今日のイルミネーションも、も少しマシに映ってたんじゃないだろうか。

自分が景色の中心になれる人間ではないことなど、これまでの人生で痛いほど理解している。ならせめて景色の邪魔にならない人間でいたいものだ。


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