誕生日いろいろ
今日の朝、中国人の先輩がミニサイズのケーキを買ってやってきた。昨日は私の誕生日だったのでケーキを買ってきました、と言う。中国では誕生日の人が周りに贈り物をするのか…文化の違い…と思いながら、促されるまま選ばせてもらった。どこで買ったのか聞けば地元ではわりと高級店で、朝からそんな贅沢品を食べてしまうなんて…と一気に非日常である。誕生日の人にケーキをごちそうになるというちょっとした違和感は、値段を考えたら大きくなってしまうので考えないことにした。
色とりどり、様々なケーキが箱の中には詰まっていた。ケーキ屋さんのケーキ自体久しぶりである。私は、真っ赤なムースを選んだ。上には小ぶりなイチゴとブルーベリーが乗っている。ブルーベリーのゼリーもオーソドックスなイチゴのショートケーキも、抹茶のドームケーキも捨てがたかったが、その赤に目を奪われてしまった。これにします、といただいて自分のデスクで食べる。スポンジを土台にして、カスタードクリームをイチゴのムースが包んでいた。イチゴは製菓用の夏秋イチゴらしい酸味でこれがまた美味しい。ブルーベリーも彩りばかりではなく、ちゃんと初夏の味がした。
一人で壁に向かって食べても味気ないし、そもそも貰ったものだし、と思って、ケーキをくれた先輩とつつきながら会話をした。中国では誕生日の人が周りに振舞うものなのか、と聞けば、両方が贈り合うのだという。貰うばかりではなく、双方向のやり取りがあるというのは中国らしい気がした。そして大切なのは同じ時間を過ごすことだ、と教えてくれた。なにかを囲んでみんなで話す。それが大切だから、という。なるほど、それは日本では最近薄くなってきている考え方かもしれないな、と最後のムースを掬いながら思った。
ごちそうさまでしたありがとうございました、と言えばイチゴミルク美味しかったでしょ?と尋ねられた。これはイチゴミルクムースだったのか、とそこで気づいたが、美味しかったので素直に美味しかったです!と答えた。女性はやっぱりイチゴかなと思ったんだ、と恥ずかしそうに告白してくれた。だからこのケーキが2個あったのか。先輩は誰が何を選びそうかちゃんと考えて買ってきてくれたのだ。それにしても私は見事にその思考通りの選択をしたものである。それを知って私もなんとなく恥ずかしくなってしまった。
あまりに綺麗な赤だった。先輩のセンスはかなり良かった。これを選びそう、と思い浮かべる先に自分がいたことがなんだか不思議だった。