新玉ねぎはなぜ甘い? 秘密は苦味の少なさにあった!
こんにちは! 味香り戦略研究所です!
今回のテーマは「玉ねぎ」です!
年間を通して買うことができ、様々な料理に使うことのできる玉ねぎは私たちにとって欠かせない食材です! そのままローストしてもよし、お味噌汁に入れてもよし、肉と一緒に炒めてもよしと使い方は無限大です。
玉ねぎの旬は3〜5月ごろと言われており、もうすぐその季節がやってきますね!
年中スーパーで見かける玉ねぎに旬はあるのでしょうか?
野菜なのでもちろんあります! 「新玉ねぎ」って聞きますよね?
「新玉ねぎ」は温暖な地域で3〜4月頃に出荷される早取りの玉ねぎの総称で、一般的なものとの大きな違いは乾燥させないで出荷することです! そのためみずみずしく柔らかく、新玉ねぎは生食に向いているのですね。
近年、新玉ねぎは広い地域で手に入るようになり、身近な旬の野菜として並ぶことが多くなりました。
新玉ねぎは一般的な玉ねぎと比べて「甘い」「刺激が少ない」などのイメージがありますが、本当にそうなのでしょうか?
今回は味覚センサーを通して、新玉ねぎと一般的な玉ねぎ(黄玉)の味わいの違いを分析してみました。赤玉ねぎとエシャロットも加え、4種類の玉ねぎを分析してみたのでぜひ結果をお楽しみに!
まずは素材感・苦みとうまみのバランスから見ていきましょう!
素材感とうまみのバランス
上の図は玉ねぎの素材感・苦みとうまみのバランスを表したものです。
一般的な黄玉ねぎと新玉ねぎでは大きく味のバランスが違うことがわかります!
一般的な黄玉ねぎはどれもうまみが控えめで素材由来の苦みが強い傾向でした。
それに比べて新玉ねぎの「愛媛島玉ねぎ」は素材感が控えめでうまみが強い味わいだと考えられます。同じ新玉ねぎの「愛知県産ホワイトオニオン」は素材感とうまみが共に控えめでした。“辛みが少ない”というホワイトオニオンの特徴がよく現れていますね!
実際にグラフで見てみると、新玉ねぎは一般的な黄玉ねぎに比べて素材感・苦みが控えめであり、苦味が弱いことで生でも食べやすくなっていることがわかりますね!
赤い色味が特徴的でサラダの彩りにも使われる赤玉ねぎの「北海道産アーリーレッド」は素材感・苦み、うまみどちらも控えめな味わいで、こちらも生でも食べやすい味であると考えられます。特徴的な赤い色はサラダなど見た目も楽しませてくれそうです!
小玉ねぎの「茨城エシャロット」は平均に近い味わいでしたが、黄玉ねぎよりも苦みが穏やかと考えられるので食べやすい品種なのではないでしょうか。
ところで新玉ねぎは「甘い」というイメージを持たれることが多いですよね。ということは、新玉ねぎは一般的な黄玉ねぎよりも糖度が高いのでしょうか?
品種ごとの糖度を測ってみましょう!
品種ごとの糖度
なんと新玉ねぎと一般的な黄玉ねぎの糖度を比べてみるとあまり違いは見られませんでした!
ではなぜ新玉ねぎは甘く感じるのでしょうか?
新たまねぎの素材感が控えめであり、素材由来の苦みが少ないために甘みやうまみが際立っているからだと考えられます!
新玉ねぎが甘いと言われるのは新玉ねぎ自体の甘みが強いわけではなく、苦みが弱いことによって相対的に甘みが強く感じられているということですね!
他の玉ねぎも見てみましょう。
小玉ねぎの「茨城エシャロット」は群を抜いて糖度が高く、何と新玉ねぎや黄玉ねぎの約2.5倍の糖度があることがわかりました!苦味やうまみは平均的な強さだったため、甘みが加わることで味にふくらみが出ていると考えられます!
まとめ
味分析の結果、新玉ねぎの「甘い」「刺激が少ない」というイメージは
素材感が控えめで苦味が弱いため甘さが相対的に際立っている
ということがわかりました!
乾燥の工程のない新玉ねぎは身が柔らかく、生食に向いています。
これまで玉ねぎと同じと思って敬遠していた人も、味覚センサではしっかりと味の違いが出ているので、一度チャレンジしてみていただきたいです!
注)玉ねぎは青果物のため個体間差があり、別の測定では異なる結果となることがあります。