手間をかけた出汁はうまい? 昆布出汁の抽出方法による味の違いを分析しました。
和食に欠かせない「出汁」。だしパックや粉末出汁など手軽な出汁も多くありますが、ひと手間かけた出汁は、ひと味違うのか?実際に検証してみます。
出汁にもいろいろありますが、今回は昆布出汁で実験します。
昆布出汁を取る方法は
・水出し
・煮出し
・60℃を保持する
…などがあります。
一定温度を保持する方法は手間がかかるため、従来の一般家庭では難しいやり方でした。最近では家庭用の低温調理器なども普及し、おうちで試せるという方もいるのではないでしょうか。
今回は利尻昆布・羅臼昆布・真昆布の3種類を用い、抽出方法の違いによって変化する味わいを比較しました!
実験概要 2021年7月調査
昆布:利尻昆布、羅臼昆布、真昆布の3種類
それぞれ3種類の抽出方法で出汁を作る。
水出し:冷蔵庫で一晩
煮出し:常温で1時間置いた後、沸騰するまで加温
60℃:60℃を保持して1時間
昆布の種類による差はあるものの、水出しより加温した方が総じて濃い味わいになりました。この結果は、熱を加えることにより短時間で多くの成分を抽出できたからと考えられます。
味わいの比較
グラフは、3種類の昆布を用い、3種類の方法で抽出した昆布出汁の濃さとうま味のバランスを示しています。どの昆布も、水出しより60℃、煮出しの方が味が濃いという結果になりました。
抽出温度による味わいの違い
昆布の種類ごとに、温度による違いを詳しく見ていきましょう!
利尻昆布
雑味の少ない清澄な出汁が取れる利尻昆布は、60℃で抽出したものが最もうま味が強い結果となりました。
煮出して高温にするとうま味以外の要素が強くなり、全体的な味わいとしては濃くなるが、うま味が際立たなくなったと考えられます。
羅臼昆布
濁りの強い濃い色の出汁が取れる羅臼昆布は、加温することでうま味の余韻が強くなりました。これは昆布の粘り成分が多く出たことにより、出汁にとろみがついた影響だと考えられるでしょう。
真昆布
真昆布は、煮出しより60℃で取った出汁の方が、うま味が強く濃い味わいという分析結果でした。
高温すぎない60℃程度の方が十分に味わいを引き出すことができ、煮出しよりも長時間置くことで、より多くの成分を引き出せたからだと考えられます。
まとめ
抽出条件を変えることで、昆布出汁の味わいが変化することがわかりました。今回実施した以外の温度や抽出時間、また抽出に使用する 水(硬水・軟水)によっても味わいは変わるでしょう。
メニューによって使い分けることはもちろん、いろいろ試して自分好みの昆布出汁の種類や条件を探ってみるのも面白いのではないでしょうか。