【365日のわたしたち。】 2022年5月23日(月)
大事なものが増えすぎて、抱えきれなくなった時はどうすればいい?
仕事も、子供も、旦那も、そして私自身も。
全て大切なのに、全て中途半端にしか大事にできていない気がする。
そのうち、それら全てが私の中途半端さに見切りをつけて、離れていってしまう気がして怖い。
そう打ち明けた。
5年先輩の彼女は、しばらく黙っていた。
とても面倒な質問をしてしまっただろうか。
この沈黙の時間が、私の心を余計に不安にする。
「全部に全部、100%の自分を捧げるのは無理でしょう?
そもそもあなた一人で100%しかないんだから。」
先輩は、テーブルに置かれた湯呑みを2つ手に取り、サーバーにお茶を汲みに行った。
戻って来て、私の目の前に一つを置き、もう一つはそのままゴクっと飲んだ。
「やめなさいよ、そもそも理論的に無理なことを追い求めるのは。
その4つが大事なものなの?
それなら、均等に25パーセントずつにしなさいよ。
それぞれ。
それが嫌なら、減らしても良いと思うものから、他のやつに少し取って来れば良いじゃない。」
「25%…そんなもんでいいんですかね…」
「そんなもので良いのよ、というか、それがあなたの限界値よ。
25%も捧げてあげるんだから感謝しなさい、くらいの態度でいきなさい。」
「子供には、もうちょっとあげたいです…」
「じゃあ、どこから取ってくる?」
「旦那…ですかね?」
「じゃあ前借りね。子供の手がかからなくなったら、旦那さんにその分上乗せするのよ?
それと、気をつけなきゃいけないのは…
どの大切なものに対しても、0%はダメよ。
そんなことをしたら、それはあなたの手から離れていく。
あなた自身に対しても。
それだけは約束して。」
”25%で良い”。
そっか、そんなものでいいのか。
それと、前借りできるらしい。
よかった。
そんな先輩の屁理屈みたいな理論に、あの時の私は大いに救われた。
この春、下の子供が一人暮らしのために家を出た。
久しぶりの旦那との二人暮らし。
私は子供たち用に前借りしていた分を、旦那に返さなくてはいけない。
そう考えると、旦那への感謝が驚くほどに溢れてくる。
旦那も、それに少し戸惑っているようだ。
でも良いのだ。
これまで、かなり前借りをさせてもらったのだから。
でも、それでも少し余るかもしれないな。
ふとそう考えた時、
あの時、私を励ましてくれた先輩に少し返せないだろうか、と思うのだった。
今どこにいるかもわからない、あの先輩に。