【365日のわたしたち。】 2022年2月28日(月)
2月最終日。
一気に冬が過ぎ去ったかのように、今日は日差しがとても暖かい。
窓辺の私の席は、カーテンが風に遊ばれるために、直射日光が机に差し込んでくる。
ルーズリーフが反射してとても眩しい。
そう、もうあと1ヶ月と少しで、私は高校三年生を迎える。
受験一色になってしまうんだろうか...嫌だなぁ...
そんな、他人事にみたいに自分の将来に思いを馳せながら、視線を校庭に向ける。
一年生か、二年生か。
ソフトボールをやっている。
グラウンドの奥の方では、男子たちが野球をやっているようだ。
女子ソフトボールはというと、
ピッチャーの投げるボールは見事なまでに地面の上に弧を描いて跳ね進み、コロコロとバッターの足元にたどり着いていた。
と同時に、女子特有の甲高い笑い声が、3階のここまで届いてくる。
もうあの白いボールに触らなくなって、半年以上過ぎたのか。
進学校と名高い我が高校においては、運動部所属の生徒は、高校二年生の夏で部活引退を迎える。
私も例に漏れず、昨年の夏のインターハイ予選で負けた瞬間、引退が確定した。
小学校5年生から約7年間続けてきたソフトボールだったけど、もう大学ではやらないつもりだから、あの白いボールに触るのももう一生ないかもしれない。
そんなことをぼんやりと考えていると、グラウンドから悲鳴にも似た女子の歓声が耳に届いた。
目を向けた瞬間、しゃがみ込んだキャッチャーのグローブに白い球が吸い込まれているのが見えた。
ピッチャーとキャッチャー、いずれもソフトボール部の後輩二人だった。
ということは、彼らは一年女子だったのか。
豪速球を目の当たりにした周りの女子たちは、もう一球、もう一球、と二人を囃し立てる。
少し躊躇したようなそぶりも見えたが、ピッチャーは新たな一球を放った。
バァァンと音がして、白く光るものがキャッチャーのグローブへと吸い込まれていった。
「...ナーイス、ピッチーング...」
その呟きは、
きっと誰にも届かなかった。
風に吹かれたカーテンが、
私の視界をふんわりと遮った。