【365日のわたしたち。】 2022年5月8日(日)
今日は母の日だ。
近所の花屋でも、カーネーションが軒先にたくさん並べられていた。
妻は言う。
「こういう時くらい、電話かけてあげれば?」
俺はほとんど母親に電話をかけることがない。
別に仲が悪いわけでもないが、かけるほどの話もないし、と思うのだ。
妻にほらほら、と言われ、母親の携帯に電話をかける。
「もしもし?」
そう言った母親の声は、思ったよりも歳を取っていて、ゆっくりしていた。
あれ。
いつのまにこんなに時間が経っていたのだろう。
記憶の中の母は、いつまでも高校生くらいの時のままで止まっていたのだけれど、
あれからもう20年近く経っている。
そりゃ、歳も取るよな。
何だか、勝手に母に対して申し訳なくなる。
「久しぶり、母さん。ちょっとさ。母の日だから、電話かけてみたんだ。」
そう言うと、電話の奥の母親はあぁあぁ、と言って笑った。
その声に、少し救われる気がしたのだった。