【365日のわたしたち。】 2022年5月14日(土)
土曜日の朝は、必ず7時まで寝るって決めているんだ。
毎日5時起きで会社に向かっている俺の唯一の至福の二度寝タイム。
何人たりとも、この幸せを奪うことは許さん。
そう思いながら、朝の微睡の中を浮遊する。
その時だった。
俺の頬を鋭い何かがかすめていった。
一瞬遅れて、頬にちりちりとした痛みが走り始めた。
「…いってぇ。いってぇよ。クロ。」
最近、実家で拾われた黒猫のクロ。
親父の猫アレルギーがひどいからという理由で、先週末から俺の家に転がり込んできた。
そのクロが今、俺の頬に強烈な引っ掻きをお見舞いしてくれたようだ。
おそらく、5時のご飯がまだ出てこないことをお怒りなのだろう。
頭の上で、ミャーミャーと泣き叫んでいる。
「わかった、わかったよ。」
そう言って俺は起き上がり、キッチンの餌皿の上にキャットフードをざらざらと入れた。
ついでに水も交換してあげた。
ひとしきり俺の様子を伺った後、クロはカリカリと音を立ててご飯を食べ始めた。
「お前はいいよなぁ。引っ掻けばご飯が出てくるんだからなぁ。」
そう言った俺を見上げてミャーと泣いた後、クロはまたご飯を食べ始めたのだった。