【365日のわたしたち。】 2022年3月10日(木)
専業主婦の私には、電車に乗って出かけることさえも大きなお出かけだったりする。
なかなか機会がないと、家の近所を超えて出かけることはほとんどない。
今日は主人のお使いで、隣の市まで電車で出かけるのだ。
久しぶりの駅のホーム。
私以外の人たちの日常を垣間見る瞬間。
そっか。
あの2LDKのマンションの部屋と近所のスーパー以外にも、世界はあって、ずっと動いていたんだ、と実感させられる。
電車が到着した。
到着する瞬間の、風に髪が流される感触も、久しぶりに味わう。
電車に乗り込むときは、降りる人が優先。
噛み締めるように、ドアの横で待機する。
ひとしきり人が出てきたあと、電車に乗り込む。
OL時代の名残りで、空席をキョロキョロと探してしまう。でも、平日の昼間の電車は、むしろ空席の方が多かった。
三人掛けのベンチタイプの席の端にそっと座る。
電車は動き出した。
家の窓からは決して見られない、動く住宅街や街の景色に、どうにも心がはワクワクさせられる。
車内を見渡してみると、みんな携帯電話を眺めている。
おかげで誰とも目が合うことなく、私は周りを観察できた。
あの人の靴、真っ白だ。
今日おろしたてなんだろうか。
あのストールかわいい。どこのだろ。
頭プリンになってなくてえらい...。
ちゃんと美容室行ってるんだろうな。
心のなかで、ぶつぶつと独り言をつぶやく。
そんなことをしているうちに、電車は目的の駅に早々に到着してしまうのだった。