【365日のわたしたち。】 2022年4月4日(月)
4月4日は、見ての通り、なんだか不吉な印象がある。
日本語では、”death”をなぜか「死(し)」と言うことから、幼い頃からこの誕生日を揶揄われてきた。
「死・死の日〜!お前、産まれたんじゃなくて、死んだんだよ!」
小学校4年生の時に言われた言葉だ。
幼いながら、恐ろしいほど残酷なからかい方だと、今では思う。
なんてひどいいじめであることか。
いじめって言うから、なんだか軽い印象に見えてしまうけれど、名誉毀損だし、侮辱罪だし、子供というだけで何でも許されると思うなよ、と今なら返してやるのに。
こんな経験を学生生活10数年間のうち何度か経験してきたから、この誕生日が嫌いだったし、人に言うのも嫌だった。
そんな私に、大学1年生の終わりになって初めて彼氏ができた。
サークルの同期で、約1年間共に過ごした末に付き合うことになった。
彼の誕生日は9月。
友達数人と祝ったので、私も彼の誕生日を把握していた。
しかし、私の誕生日である4月4日は、入学前だったことから、彼は私の誕生日を知るチャンスが今の今までなかった。
そして、付き合って2週間経ったくらいの時、帰り道で彼は私に尋ねた。
「そういえば、誕生日っていつ?」
私は過去のトラウマが一瞬で頭の中を駆け巡り、即答できなかった。
普通の人からしたら、誕生日を答えるくらいどうってことないのだろう。
ただ私は、誕生日について嫌な思い出があまりに多すぎた。
「...4月4日」
そう小さな声でつぶやいたけれど、彼には届かず、
「え?ごめん、いつ?」
と再度聞き返された。
もう一度、そしてもう少し声を振り絞って
「4月4日」と答えた。
すると彼は、
「もうすぐじゃん。一緒にお祝いしなきゃ」
とワクワクした様子を見せた。
そしてこう続けたのだ。
「4が二つ重なってるから、4(し)合わせ、「幸せ」だね。いい誕生日!」
目から鱗だった。
急に視界が開けたように、自分の誕生日がキラキラと輝き出したような気がした。
繋いだ手をウキウキと振る彼をよそに、私は泣きそうになっていて、溢れそうな涙を眼球からこぼさまいと必死に目を見開いていた。
彼はたった一言で私の世界を変えてくれた。
彼はたった一言で私を救ってくれた。
喜びやら感謝やら混乱やらで、頭の中がごっちゃごちゃになっていた。
やっと
やっと
やっと、自分の誕生日を好きになれそうな予感がした。
その予感だけ、今はっきりと私の心に生まれたのを感じた。
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