お遍路簡単用語解説(随時更新)
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No1【通し打ちと区切り打ち】
・四国八十八カ所を全て廻るには、車でも10日ほど掛かる。
・そこでお遍路を途中何回かに分けてお参りすること
=『区切り打ち』
・区切り打ちに対して八十八ヶ所の札所を
中断せずに一気に巡りお参りすること
=『通し打ち』という。
・「打つ」という言葉はお遍路さん用語で
札所を参拝するという意味。
かつて木製の札を本堂や大師堂の柱に
打ち付けたことに由来しているとのこと。
No2【金剛杖】
・修行僧や巡拝者が持つ杖のこと。
・登山者などの用いる杖はこれを転用したものと言われている。
・お遍路では『同行二人』という言葉がある。
この杖はお大師様の化身であり
「常にお大師様が一緒にいて下さる」と考える。
・行き倒れた時は墓標となる。
・基本は自身の身長に合わせて作成するが
最近は車に乗せやすいように130㎝で作られているらしい。
No3【お接待とは】
・四国では巡礼するお遍路さんを敬い、助ける風習がある。
・自身がお遍路できなくても、敬い助けることで功徳を積める。
・お遍路さんは感謝し、「代わりに廻る」という気持ちを持つ。
・利益見返りを求めない「お接待」
仕事などで使う「接待」とは全く違う意味を持つ。
・お接待は「気持ち」なので、「○○をする」という決まりはない。
No4【菅笠】
・スゲという植物の葉で編んだ笠。
・お遍路さんが被る帽子のこと。
・形や大きさが販売所によって微妙に異なる。
No5【逆打ち】
・お遍路用語で参拝することを「打つ」という。
・四国霊場88カ所を数字の順番(時計回り)に廻ることを『順打ち』。
・逆に88番札所から1番札所に向かって(反時計回り)に廻ることを『逆打ち』という。
・逆打ちは道が分かりにくい&厳しい道のり=功績が大きいとする説もある。
No6【お参りのろうそく】
・お参りでロウソクに火を灯すことを「灯明」という。
・灯明することでお参りに訪れた姿を見せることができると言われている。
・冥界は真っ暗で見えないので、光を届けるという意味もあるとか。
・ロウソクは上段の真ん中から置くことで、次の人が使いやすいように配慮する。
(端や下から置いてしまうと裾を焦がしてしまうから注意)
No7【八つの苦】
人が避けることのできない8つの苦難
・「生」:生きる苦しみ
・「老」:老いる苦しみ
・「病」:病む苦しみ
・「死」:死ぬ苦しみ
・「愛別離苦」:愛するものと必ず別れる苦しみ
・「怨憎会苦」:怨みや憎みあう者と出会う苦しみ
・「求不得苦」:求めるものが得られない苦しみ
・「五陰盛苦」:心身から生じる苦痛や苦悩
No8【十の楽】
極楽浄土で受けられる10の光明に輝く楽しみ
1.「聖衆来迎」の楽
亡くなるときに苦しむことなく、仏や菩薩が迎えて浄土に導いてくれる
2.「蓮華初開」の楽
蓮華の蕾に入り極楽浄土に行って生まれる
蓮華が初めて開く時に、けがれなく清らかな瞳を得て、あらゆる歓楽を受けることができること
3.「身相神通」の楽
清らかで優れた特質を持つ身と、神通力を得ることができること
4.「五妙境界」の楽
眼・耳・鼻・舌・身の優れた感覚器官により
色・声・香・味・触の得られる感覚が絶妙であること
5.「快楽無退」の楽
修行で得られた清らかな快楽(悟りや功徳)は尽きることなく失わないこと
6.「引接結縁」の楽
生前の恩や縁ある人々を浄土に引き寄せることができること
7.「聖衆倶会」の楽
浄土で互いに語り法楽を得ること
菩薩衆に会うことができること
8.「見仏聞法」の楽
仏に会い、教えを受けることができること
9.「髄心供仏」の楽
心のままに仏を供養することができること
10.「増進仏道」の楽
自らが仏道を進むことができるということ
No9【十善戒】
不殺生:故意に生き物を傷つけず、殺さない。
不偸盗:与えられていないものを自分のものとせず、盗まない。
不邪淫:不倫など道徳に外れた関係を持たない。
不妄語:嘘をつかない。
不綺語:中身の無い言葉を話さない。へつらわない。
不悪口:乱暴な言葉を使わず、悪口を言わない
不両舌:他人を仲違いさせるようなことを言わない。
不慳貪:激しい欲をいだかない。
不瞋恚:激しい怒りをいだかない。
不邪見:道理を無視した誤った見解を持たない。
No10【お寺の鐘を打つ】
①鐘を打っても良いところか確認する。
②早朝など迷惑になる時間は避ける。
③鐘は参拝の前に一度だけ打つ。
(参拝後の鐘は縁起が悪いと言われている。)
No11【四国お遍路 4つの道場】
四国お遍路では、
4つの県それぞれを人生や悟りの段階に例えられている。
◎徳島県(阿波) 「発心の道場」
→お遍路を歩き切るための基礎体力をつける道
◎高知県(土佐) 「修行の道場」
→札所が少なく距離が長いため試される道
◎愛媛県(伊予) 「菩提の道場」
→菩提とは道、知、覚を意味し、あらゆる煩悩を断ち切るための道
◎香川県(讃岐) 「涅槃の道場」
→煩悩が消えて悩みや束縛から脱し安楽の境地に至る道