思い出という余韻に浸るお年頃
よしこさんとは学生時代のバイト先で知り合った
キッチンを任せられていて、専門はイタリアンと教えてくれた
よしこさんのいる日は、私は楽しくオーダーを入れていて
客入りの少ない日は早めに片づけて一緒に帰ったりして
将来は彼氏とペンションをやりたいとか
アーモンドチョコをつまみながら話してくれた
「とまれへんねん。ひと箱食べきるときもあるねん。」
大学の友達でもない 家族でもない いい感じの距離感
一度、昼間に偶然出会ったよしこさんは
いつも束ねていた髪を下していて違う人みたいだった
「ほなまたな。」
河原町でスカートを柔らかになびかせて立ち去るよしこさんをみて
さすが生粋の京都人は違うと思った
京都の夏は暑かった
自分は蒸し器の飲茶になったんじゃないかとさえ思った
心の奥底までじんわりと染みるあの暑さは、まるで未来の重い記憶で押しつぶすように、静かに胸を締めつけた
よしこさんは何年かに1度くらい私の心に顔を出す
その度に思う
よしこさんは きっとずっと
誰よりも優しいままだろう
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たまにポエマーになります。
先日素敵なエッセイを書く方にスキ♡をいただきポエマー心に火が灯りました。
最近は、あの人とあのまま関係性が続いていたらどんな日々だったかななどと、思い出の余韻に浸ることが多くなりました。
大人になったなぁ。
よしこさんとはバイトで、しかもホールとキッチンという関係性だったので、有り難いことに揉め事や嫌な思い出がありません。なので私は永遠に彼女の優しい一面しか知らないことになります。
よしこさんが現れる時は自分がしんどい時なんだ、と分かるようになりました。
腐りそうな時ほど彼女のように優しくなろうと心が語りかけてくるようです。