喇叭亭馬龍丑。日記「パーカーの命日」3/12(火)
2024.3.12(火)
「パーカーの命日」
今日はチャーリーパーカーの命日だ。
六十九年前の今日、ドクターストップによりライブに行けなかったパーカーは、ニカ夫人が投宿していたニューヨークはスタンホープホテルにてバラエティ番組「トミー・ドーシー・ショウ」を観ている最中、笑った拍子に心臓麻痺を起こして亡くなった。
ニカ夫人の言によると、亡くなるその瞬間、雷鳴が轟いたらしい。なんにせよ、パーカーは笑いながら死んだ訳だ。あっぱれな三十五年。
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我が家の家宝『The Complete Dean Benedetti Recordings of Charlie Parker』。俺達の大先輩、パーカーの追っかけ狂人ディーンベネデッティが、あちこちのライブを録音した私家録音版。しかもパーカーの演奏だけを。それに続くプレイヤーが誰であろうと、容赦なくテープは切られる。最高だ。
このテープの行方はディーンベネデッティの死と共に伝説の彼方に追いやられていたが、それが突如、一九八八年に発掘された曰くつきのブツ。
これはCD集だが、いつかはレコードでも欲しい。高いんだ、とにかく。
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十八歳の時に初めて『バード&ディズ』を聴いた。今になって振り返ればその時、「ここでは、何かとても重要なことが語られている気がする。でも…よく分からない」と思ったからこそ、二十年経った今尚、パーカーを聴き続けているんだろう。
たとえばそれは目の前にいる異国人が必死の形相で自分に向かって話しかけてくる様に似ている。言葉の意味は分からない。でも、その言葉は確実に自分に向けられている。必死さも切実さも伝わってくる。なのに、理解出来ない。
そうなった時、やはり人間はなんとかして分かろうとするものなのだろう。
いつの日にか「なるほど。あれは召命だったんだな」と納得出来る様に、今日もラッパを吹く。パーカーの立っていた場所、見ていた景色に少しでも近づけるように。
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俺もパーカーみたいに最期は、笑いながら死にたいものである。