お菓子な外国語

…完全に出落ちである。

縁あって、フランス語を学び始めた。

いや、「縁あって」などと勿体ぶったが、以前記事を書かせていただいた「語学塾こもれび」さんに通うことにしたのだ。

「自分の頭で考えて、自分の言葉で語る」という在り方に「まさにここぞ理想郷!」と思い定めて、門を叩いた次第なのである。

先週が無料体験で、今週が記念すべき第1回目の授業。何事も、初めというのはことさらに気分が高揚するものだ。

話は"financier"(フィナンシェ)がフランス語だと「金融家」という意味になる、ということから始まり、"mille-feuille"を「ミルフィーユ」と発音すると、"mille-fille"(千人の女の子)と聞こえてしまうことなど、身近な例をたくさん出していただき、楽しいことこの上ない。

帰り道、教えてもらったことを頭の中で反芻していてふと思ったのが、「お菓子の名前は、訳さずにそのまま音写しようとすることが多いような気がする」ということ。フィナンシェ、ミルフィーユ、エクレア、マカロン、ガレット…枚挙に暇がない(正しく音写できているかどうかは別として)。
「フィナンシェ」が「西洋風金塊型焼菓子」という名前だったら、たぶん印象は全く違うものになっていたはずだ(まるで戦時中のようだ)。

「外国のお菓子の名前」ということについては、なぜかずっと覚えている思い出がある。
大学1年生のドイツ語の授業。発音の練習をしていた時なので、まだ学習の初段階だった思う。先生が言ったことには、「『バームクーヘン』というお菓子がありますが、あれは正しく発音すると『ばーむくーへん』ではありません。"Baumkuchen"(あえてカタカナで表せば『バオムクーヘェン』?)です」。その声の調子の真面目さと"Baumkuchen"の音の響きがとても印象的で、10年以上経った今でも折に触れて思い出す。先生のお顔はもちろんのこと、自分が黒板に向かって教室の左側の前の方に座っていたなぁ、なんてことまで覚えていたりする。

その後の人生で、独学で中国語を齧ってみたりはしたものの、先生のもとで外国語を教えてもらうという経験は実は大学生の時以来のこと。きっとまた、印象的な場面にたくさん出会えるのだろう。楽しみ楽しみ。

いいなと思ったら応援しよう!

秋本 佑(Tasuku Akimoto)
もし何かに共感していただけたら、それだけでもとても嬉しいです。