ブンゲイファイトクラブ6 1回戦作品「砂を送る 川柳二十句」

羊には羊の園の昼と夜
 
 
湧き水の攻略法を書き記す
 
 
現実を駈け抜ける現実の馬
 
 
目のなかで毬藻が育つ幼年期
 
 
雨は糸フリルは縫いつけてあげる
 
 
路地裏にネイルアートを説いた猫
 
 
念のためスマートフォンを去勢する
 
 
だめだから彼女の素を溶かす風呂
 
 
政治家の東南口を聞く私
 
 
たてがみを検索窓に見誤る
  
 
合法のビーチを思い切り吸った
 
 
意識へと散らすさくらは溺れてく
 
 
かなしみは乳首のふたつある僕だ
 
 
言い逃れできないプール浮く落ち葉
 
 
空腹は実景だからさるすべり
 
 
白目には書き放題の果物だ
 
 
送られた砂の季節の曼殊沙華
 
 
抱き寄せる力においてミモザ咲く
 
 
耐えるしかシャワーヘッドを握った手
 
 
耳打ちをしたら彼女に架かる虹


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太代祐一
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