日本サッカーはもっとドイツから学ぶべき 〜留学編〜
私は大学卒業後、ドイツに渡り短い3年という期間であったが様々な経験を積むことができた。その期間だけでもドイツのサッカーに対する情熱を見にしみるほど感じることができた。それから日本で活動し、現在は中国でサッカークラブを経験しているが、今だからあの時ドイツへ留学して良かったと思うことがある。
それをふと思ったのは、日本代表の試合を見ている時だった。日本代表の監督はイレギュラーがない限り、W杯を基準にして、4年ごとに監督が変わる。新しく来る監督も直前のW杯でトレンドだった監督を連れてくることが多い為、常に日本代表のサッカーは少し前のトレンドのサッカーになってしまう傾向がある。そして、日本サッカー協会もその代表監督のサッカーのキーワードを合わせることから、日本サッカー全体も少し前のものになってしまう…
一方ドイツはどうか?様々な意見があるもののレーブが2006年(2004年〜2006年は代表コーチ)から代表監督を務めている。その間にW杯を優勝している。長ければいいと言うわけではないが、W杯を跨いで監督をしている為、次のトレンドもわかってくるし、選手のことも分かる。これは、代表監督を務める中でとても大きいと思う。
そして何よりすごいのがドイツサッカー協会である。彼らの本気度は凄すぎる。彼らを見ているとチャンピオンになるのも難しいが、その最高峰に居続けけることが難しいのがよく分かる。常に新しいことにチャレンジし、新しいトレンドを生み出し、ほかに新しいトレンドがあれば上手く取り入れようとする。
それを感じたのは、ドイツサッカー協会公認指導者B級ライセンスを受講した時だった。2015年1月終わり頃から受講し始めた。その前の年の2014年W杯ではドイツは優勝していた。たまたま私が受講した時からライセンスの区割りと内容が変わった。ドイツはW杯に優勝したばかりだったのに、スペインやペップ・グアルディオラのポゼッションについてライセンス講習に多く取り入れていた。
W杯を優勝したばかりだと言うのに、世界一になったばかりだと言うのに…
受講した初日の衝撃は凄かった。この国の、ドイツサッカー協会のプライドや貪欲さを物語っていたと思う。普通、優勝したらこれまでの取り組みを紹介し、これがあったから優勝できたみたいなことを話してもいいのにそんな話はなかった(インストラクターが仕切りに「私は毎日7、8試合見ていた」と連呼していたことは良くあった)これからのサッカーはこうなるとか、こう言うことが必要だと言う未来についての話が多かった。
今、日本サッカーは停滞期なのではないかと思う。なんだかんだでW杯に出てしまうし、なんだかんだでいい選手が出てきて海外へ挑戦していく。これは一つ日本サッカーが発展したという証拠であるが、それが故に守りに入っているというか、何か犠牲を怖がっているようにも見える。その昔、デトマール・クラマーがサッカーを教えてくれたように今こそもう一度日本サッカーが進む道を導いてくれるような指導者が必要なのではないかと思う。
そして、それがドイツという国なのではないかと思う。
【サッカー留学をするならドイツへ!!!】
①エージェントの必要はほとんどいらない?
②大学の学費がとても安い
③サッカーとはどんなものかを学べる
①留学仲介エージェントはほとんどいらない?
まず海外留学と言うと留学仲介エージェントをネットで検索する人いると思う。やはりそれは、安心であったり、そっちの方が楽だったりと言うことが挙げられるかもしれない。実際のところは、国や地域によっては必要な場所がある。しかし、ドイツでサッカー留学(目的にもよるが)の場合は必要ない。
実を言うと私は両方経験している
大学生の冬休み利用→2週間 ドイツを旅行、トレーニングを見学
大学生の夏休み利用→1ヶ月 サッカーキャンプにアシスタントコーチとして参加
大学卒業後→本格的にケルン体育大学へ留学
●エージェント利点
・安心、安全
・時間をかけずチームを紹介してもらえる
エージェントを利用する1番の利点としては、安心して留学生活を送ることができる可能性が高い。生きていればエージェントを利用していても危険が身に降りかかること(これは日本でも同じ)はある。しかし、エージェントは様々なことを知っている為、わざわざ危険な場所に行くこともないし、家などを用意してくれることも多いことから気軽に留学できる。もちろん様々なチームのことも知っている為、留学直後にチームを紹介してもらうことが可能。
●エージェント欠点
・高額
・自由がない
・意外と放って置かれる
安心を金で買うようなものである為、お金はかなり高い。そして、自由がない。エージェントは様々なチームと関係を持っている為、チームを紹介できる。しかし、当事者がそのチームを気に入らなかった場合、すぐに次のチームにいくというのは難しい。なぜならエージェントもそのチームとの関係が悪くなれば、他の人を紹介しにくくなるからだ。だから、勝手に違うチームへ参加することは制限されるし、すぐにチームを変えるのを エージェントは嫌がる。そして、意外と放って置かれる時間が長い。エージェントは、その仕事だけやっていると言う人が少ない。複数の仕事のうちの一つなので、他の仕事が忙しい場合は、なかなか相手にしてもらえない。そのくせ、先ほども書いたようにその状態なのにかなり高いお金を要求してくる。
◎ドイツの場合はエージェントは必要ない!!
先述したように国・地域によってはエージェントが必要かもしれない。しかし、ドイツの場合は必要ない。特にサッカーの場合は。
個人で行くと…
まずは、自由がある。自分で調べて自分に合ったレベルのチームへ行ける(そのチームに入れるかはわからない)、行ったチームが気に入らなかったらすぐ他のチームに行ける。これがまず大きい。フットワークが軽くなると様々なところへ行ける。その分、問題が多くなるが多くの経験を勝ち取ることができる。
私は、大学卒業後、ドイツへ行ってからは全て自分もしくは友人にチームを教えてもらって、エージェント紹介ではない。FuPa−das Fussballportalというサッカーのチームや選手を使ってチームを検索した。そして練習時間にスパイクと熱い気持ちだけ持ってサッカーがしたいと伝えたら参加させてくれた。私の弟も大学生の時に2週間ほどサッカーをしにきたが、その時も私より上のリーグで同じ方法で練習参加させてもらっていた。そこから契約して、試合に出れるようになるかは本人次第。そしてそれは、エージェントを使っても同じ。
エージェントがいないと分からないことが多いが、放って置かれるということもないし、勝手にチームを変えてはいけないということもない。
そして、コーチとしてチームに行きたいという人もまずはサッカーチームに入ることを勧める。得体のしれない外国人に子供たちを預けるというのは、どの国の人も嫌がるだろう。もし、サッカーに自信がない人でも大丈夫。そのクラブのトップチームはが下位リーグだが、育成チームは上位リーグにあるというクラブは多くある。そのようなチームを探して、まずは選手としてサッカーをする。自分の顔をクラブ内に売って、そこからコーチとして活動するという道が 受け入れてもらいやすいと思う。それに加えてトップチームの監督、コーチや選手がそのクラブの育成チームの監督、コーチということがザラにある。そこに頼むというのも手であると思う。
ドイツの場合は他の国に比べて安全であるし、日本人のことも快く受け入れてくれる人が本当に多い。このことからドイツへ行く場合は、エージェントが必要ない。そのお金があるなら他に使った方がいい。
②大学の学費がとても安い
私はケルン体育大学というところに通っていた。設備の面もそうだし、授業のクオリティもかなり高かったが(ある授業の前には教授が厳しすぎて気持ち悪くなることもあった)それに比べて学費がとても安かった。2015年当時は、学費が半年で(前期、後期に分けられる)5万円いかないくらいだった。私は大学卒業後、ケルン体育大学へ入学したので金銭面でも助けられた。
しかし、入学のハードルはとても高い。DSHと呼ばれるドイツ語のレベルを測るテストのC2レベル相当(ドイツ語のレベルはA1から始まり、C2が最上位)に合格しなければならない。ケルン体育大学には、外国人用DSHの対策のドイツ語コースがある。ドイツ語のB1レベル以上の人しか入れない(私は日本の大学在学中に私立のドイツ語学院に通ってB1レベルを取得。その私立の語学学校については後日記述)半年で1コース、コースの最後に試験がある。私は1回目では受からず2回目で合格した。
その他にも、スポーツテストがある。その種目も、求められるレベルも高かった。しかし、私は日本でスポーツ系学部(法政大学スポーツ健康学部)を卒業したので体力試験は免除された。これは、本当にラッキーだった。ドイツ語だけに専念できた。
ケルン体育大学と言えばヨーロッパのスポーツ関係の人は誰もが知っている大学であるし、日本でも知っている方が多いであろう。そこへ通っていたという自慢がしたいわけではなく、言いたいのはお金持ちではなく、実力があったり、努力をしたりすればがその有名大学に入学できるということだ。これもドイツをお勧めするポイントの一つである。
③サッカーとはどんなものかを学べる
サッカーとはどんなものか学べる…とても大雑把であるが今でも本当にそうだと思うし、指導者として働く前にドイツでサッカーを学べて本当に良かったと思う。
日本サッカーと一番違うこと…
それは、ドイツサッカー協会公認指導者ライセンスである。
日本サッカーがもっとドイツから学ぶべきである1番の理由はここにある。
通常、日本サッカー協会のライセンスはC、B級であっても内容や試験は4vs4や8vs8のグループ戦術が多いと思う。私は一度、地域A級トライアルを受けたがそれでも8vs8のゲーム形式の中での改善であった。
しかし、ドイツサッカー協会公認指導者ライセンスでは、最初から11vs11についてだった。これが受講してすぐ受けた2番目の衝撃だった(最初は先述のとおりドイツサッカー協会がスペインやペップから学んでいたこと)もちろん個人技術やグループ戦術の授業もあったがほとんど11人制に付随したものであった。最初から11人制サッカーとはどんなものか叩き込まれた。
インストラクターも厳しく、こだわりがとても強い人だった。
ボードで説明する際も、試合であり得ない状況でボード状に選手を置いてしまうと、その状況はあり得ない説明しなくていいと言われていた受講生もいた。
トレーニングのオーガナイズも少しでもあり得ない状況であったりすると途中で打ち切られていた。
多くの受講生が夜、サッカーボードの夢を見ていた。
この環境でサッカーを学べたことに今でもとても感謝している。11人制サッカーの仕組みをまず教わったことによってサッカーに対する考えが大きく変わった。
まずは、全体を考えることによって、その中の小さなグループに対する考えやトレーニングが自ずと決まってくる。
日本サッカー協会の場合は、小さいグループから講習や試験をする為、11人制の中ではあり得ないトレーニングや考え方が生まれてしまうこともある。その監督、コーチの考え方があるが、そのトレーニングはサッカーではなくボール蹴りのトレーニングなのではないかと思ってしまうことがある。
1万回リフティングができることは技術の中では素晴らしいことだろう。しかし、11人制サッカーの技術の中には入ってこないかもしれない。
経験は、どんなことでも必要だ。しかし、全体像を掴んでいるのと、小グループのことだけしか分からないのでは、同じ経験を積んでも出来上がるものは違ってくる。
日本のライセンス制度こそドイツから学び変わってほしいと思うことである。
C級からある程度、全体像を掴めるようにするべきである。
彼らは、19度W杯に出場し、4回チャンピオンになっている。
そして、私たち、日本はまだ世界で10番目にすら入ったことがないチームなのだから。
【終わりに…】
今回は、日本サッカーがもっとドイツから学ぶべき理由を書いてみた。
何よりあの国のサッカーに対する情熱やプライドは凄まじい。
これを読んでドイツ留学に少しでも興味を持つ人が増えれば嬉しい。
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