2019年中国全国大会U15でリバプール式のプレッシングを使ってみた①
今回は以前、大連サッカー協会U15の監督時、全国大会でリバプール式のプレッシングを使用した時のことを考察する。
①当時の状況
②プレッシング方法
③トレーニング方法
④結果・改善点
⑤まとめ
この順番で考察する。
①当時の状況
まず当時の相手チームや自チームの大まかな状態を話したい。
●相手チーム
中国の育成年代の場合、殆どの相手が4-3-3のフォーメーションを取り、この出場した大会でも全ての相手の基本フォーメーションが4-3-3であった。
そのチームの選手によって様々であるが、フィジカルを全面に押し出したチームが多かった。その当時多くの相手チームの特徴は、サイドの選手は足が速いウインガータイプであることが多い。中盤3枚はボールを奪うことが得意なタイプで、CBは体が大きく1対1が強いタイプが多かった。
相手のビルドアップに関しては、ゴールキックをそのまま大きく蹴るよりは、CBにパスしてからパスを繋ぐことを目指して、繋げなかった場合大きく蹴るチームが多かった。
●自チーム
自チームの状態は、左サイドからのビルドアップと中盤でのポゼッションを得意としていた。
技術が高い選手が多いが、フィジカルでは明らかに劣っていた。自陣ゴール前での守備が不得意であった。
このことから試合時間の出来るだけ長い時間を相手コートで過ごすことを目指していた。
しかし、当時の相手のビルドアップを妨害するプレッシングは上手く機能しておらず簡単に自陣に入られていた。これがチームの課題の一つであった。
そこで冬合宿を利用して、リバプール式のプレッシング方法をチームに浸透させることにした。
②プレッシング方法
前線でのプレッシングを採用する様々なチームの試合を見て、リバプールが一番当時のチームにあっていた。両サイド、中盤の選手ともに走力があり二度三度追いができた。
プレッシングの優先順位
1 プレッシングの犠牲者(時チームにボールを奪われる選手)からボールを奪いショートカウンターを狙うこと。
※黄色○のついた選手が今回のプレッシングの犠牲者
2 SBへのパスをインターセプトしてショートカウンター
3 相手GKに難しい体勢で無計画なロングキックを蹴らせてヘディングで跳ね返すこと
自チーム配置
1 チーム全体として4-3-3の位置を取る
2 相手4バックに対し3FWが図①のように配置
相手のSBとCBの間に両ウイングを配置し、相手アンカーをFWがマークにつく。
ポイントは、相手CBにスペースを与えて、GKからのパスを誘発させること。GKがロングキックを選ばないようにする。
相手アンカーにパスが入ると簡単に時チームの第一プレッシャーラインを超えられてしまうのでここにはスペースを与えずマークする。
3 プレッシングの犠牲者に対しては、自チームMFで両側から監視する。プレッシングの犠牲者に対して、スペースを与えずに厳しくマークすると他のパスコースを選んでしまうので、監視はするがスペースを与える。(図②)
4 自チーム最終ラインはセンターライン少し後方の位置(MFとの距離を開けすぎない)、ボールサイドにコンパクトにスライド(遠いウイングは自チームGKと連携して監視のみ)する
5 GKは足の速さにもよるがペナルティエリアの外にポジションを取ることを勧める
プレッシング方法
1 二段階にリズムを変えてプレッシングの犠牲者へのパスを誘導する
2 相手GKから相手CBへパスを蹴った瞬間、ボールサイドのウイングがプレッシングを開始。相手SBへのパスコースを切りながらボールへ寄せる。
※相手CBへの寄せ方→外を切りすぎるとファーストタッチで抜かれてしまう。相手CBのタッチライン側の肩に向かってプレッシャーをかけると上手く相手SBへのパスコースを切れる。(図③)
3 相手SBがプレッシングの犠牲者にパスを出した瞬間、自チームMFが外側から寄せて内側にコントロールさせる(図④)
4 プレッシングの犠牲者が内側にコントロールしたところをすぐさまもう1人のMFが寄せて奪う
5 ボールを奪ったらできるだけ早くFWに渡してフィニッシュを狙う(図⑤)
イレギュラー(パターン1)
CBがまたGKにパスを返した場合。真ん中のFWが相手のアンカーのパスコースを切りながらGKに寄せて相手SBにボールを蹴らせる。MFがスライドしてインターセプトを狙う。ウイングの選手は内側に戻る。(図⑥)
イレギュラー(パターン2)
プレッシングの犠牲者からSBにパスがでた場合。自チームSBがボールホルダーに縦を切りながら寄せる。ボールを奪う役のMFが少し下がり相手FWに入った時に挟む。逆サイドのウイングも含めスライドをしてコンパクトを保つ。(図⑦)
イレギュラー(パターン3)
逆サイドに展開された場合。即時撤退し、プレッシング2(別日に投稿予定)に移行する。
③トレーニング方法からは、次回投稿に掲載する。
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