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マンガは最早、自己啓発本だ!

私は「飲み屋のオヤジ」風情のくせに、noteでストレスマネジメントについて偉そうに持論を展開してますが、小さい頃から自己防衛本能が強く、感情を大きく揺り動かされることが苦手でした。できればいつも心を平らにできる、無難な状況を好んでおり、それはアラフォーの今でも基本は変わってません。

ただ、マンガは大好きでした。
現実とは切り離された「フィクション」の世界では、感情の起伏を娯楽として捉えられていたからかもしれません。

しかし、我が家は「マンガは害悪」という父の方針があったので、蔵書が許されていたマンガは、横山光輝の『三国志』、手塚治虫『ブッダ』、『マンガでわかる世界の偉人』、『まんがで学習 ことわざ辞典』という勉学に通ずるものと父が許可したものだけでした。
(横山三国志は父の趣味だと思いますが笑)

そんな鬱積した幼少期の跳ね返りか、現在我が家の本棚の9割はマンガしかありません。 溢れるマンガを収めるために、ホームセンターで木材を買い漫画用本棚を自作したくらいです。

前置きが長くなりましたが、今日は「私を構成する5つのマンガ」というテーマで、マンガの情報をどう私が噛み砕き、自分の血肉にしていったかという、「価値観のアップデート事例」を紹介したいと思います。

1:『行け!稲中卓球部』

ネタバレにならないように、マンガの内容について詳細は割愛しますが、小学生〜中学生くらいのころに稲中は好きで読んでました。

親からしたら「子供に読ませたくないマンガ」の代表格でもあったマンガだと思いますが、思春期を拗らせてるティーンネイジャーにはその「タブー」な感じにまた唆られる訳です。

このマンガから私が学んだことは、
・「面白い」は武器になる。
・「羞恥心」は足枷になる。

ということです。

稲中は私よりもう少し上の世代が恐らくドンピシャなコア世代だったと思うんですが、私は従兄弟の兄ちゃんたちの影響もあり早い段階で読むことができました。だから「稲中ネタ」みたいなを披露すると、当時の同級生内ではブルーオーシャンだったからウケるんですよ。ちょっと人気も出る。

「面白い=強い」って子供ながらに思いましたね。
でも、ただマンガのネタをパクってるだけじゃダメなことにも気づきます。
稲中のキャラのように「越えちゃいけないラインを平気で越えちゃう」逸脱した行動が「ユーモア」に繋がってたりする訳ですよ。
その「ユーモア」と「狂気」の境界線みたいなものを、「マンガ」と「現実」の間ですり合わせる作業のきっかけを稲中は作ってくれたと思います。

それを一番わかりやすく表現できるのが、
「恥ずかしがっていることが人にバレるのは余計に恥ずかしいくてダセェ」
という、羞恥心に関する概念の変化です。

恥ずかしがってモジモジしてやらない!より、進んで恥をかきに行った方が結果を得られやすいということを私はこのマンガから学びました。

ありがとう、稲中。

2:『きのう何食べた?』

このマンガはゲイカップルの日常が題材なんだけど、それが本当に素朴で普通で、なんかすごくいいんですよね。(←語彙力のなさ😅)

私はテレビは見ないんですが、ドラマ化などもされていてSNS上ですごく評判の良い投稿をよく目にしてました。

このマンガの良いところは、とにかく「おうちご飯」のレシピが豊富に描かれていることなんですよ。 まじで役に立つ。
栄養のバランス、味や見た目のバランスを意識しつつ、出来るだけ手間をかけず、でも品数はそこそこ用意し、食材のロスがでないように、安価で済ませる。という主人公のスタイルが惜しげも無く披露されており、すごく優秀な家庭料理のライフハック本なんですよ。

そんなすごーく普通の社会生活を営むゲイカップルの日常ストーリーを見ていると、同性愛者も異性愛者も何も変わらないという当たり前のことを再認識する訳です。

元々私はLGBTに関して大きな偏見を持っていませんでしたが、同時に知識もありません。マンガの中では、同性愛者であることで生じる不都合や不便のようなものが描かれているので、そういう意味では知らなかったことを知ることができたし、異性愛者である私との違いを認識することもできました。
ただ、それは背が高い人にも悩みはあるし、男でも女でも違いはあるし、みんなそれぞれ大変なことあるよね、って話で。
変な先入観や固定観念、偏見や差別ってやっぱり世の中にいらないなぁ、と改めて思わせてくれたマンガだと思います。

3:『人間交差点』

私はこのマンガを20代の頃に読んでいたんですが、若い時に読んどいて良かったなと今は思います。

基本このマンガの主人公は中年以降の男女ですし、題材も不倫だったり、サラリーマンの苦悩だったり、熟年離婚だったり、病気や死別、はたまた犯罪だったりと暗い話が多いんですよね。でもそういった状況だからこそ出てくる人間のドロドロした関係や、醜い感情みたいなものに「人間らしさ」や「きれいなものばかりじゃないよね」ってことが表現されていて、私の人生観に「陰陽合一」という概念を植え付けてくれたマンガです。

若い頃に、「あぁ、年取っても人間変わんないものは変わんないんだな」と、年月を経るだけで自動的に成長する訳じゃないことに気づけたのもいい経験だったと思いますし、今読み返すとそれはそれで感慨深かったり、若い頃には分からなかった共感みたいなものもあり、恐らくもっと年を取ってからも楽しめると思ってます。

短編なのでどこから読んでも大丈夫だし、時間を取られないのも魅力です。

4:『深夜食堂』

このマンガは確か私が就職活動をしていたくらいの頃に、駅の売店に売っている週刊マンガみたいなのをほぼ全種類買って読んでいた頃に出会ったマスターピースです。

そして私の中では数少ない、マンガ原作が実写化されて実写版もものすごく好き!となった作品でもあります。(因みに他には「鮫肌男と桃尻女」や韓国映画「オールドボーイ」なんかは実写版も秀逸です。)

こちらの作品も「人間交差点」と同じような感じで、人情物というか、良いも悪いも人生って色々あるよねっていうのに、擬似的な共感体験を得られる内容です。

そして何よりこの食堂がいいんですよ。深夜から明け方まで営業する食堂の中で繰り広げられる等身大の人間模様。普段あまり人前に出すことのない心の「隠」の部分が深夜食堂だからこそちょっと外に出てきたりして、でも店が閉まる頃には日が昇り「陽」に切り替わっていく、或いはまた「陽」の仮面に付け替えなければならない。みたいなコンセプトが絵柄のほのぼのさも相まって心に染みるんです。マスターがまた男前なんだ。

私はこの作品が大好きで、今自分が営業しているお店のコンセプトに導入しているくらいです。自分の店でも、このマンガの食堂と同じような人情を感じられるコミュニケーション空間を作りたいとアイデアをくれた大切な作品です。

5:『ゴーマニズム宣言』

この作品は私の人生を変えた!! と、言うのは大げさですが、多大な影響を与えたマンガであることは確かです。

多分高校生くらいの時に、戦争論だか慰安婦問題を題材にしたシリーズの本を読んだのが最初だったんですが、きっかけは「あ、おぼっちゃまくん書いてる人のマンガだ」って軽い感じで手に取ったんですよ。
んで読んでみたらすごく政治的な内容だし、また小林よしのり氏の過激とも言える主張は私のそれまでの価値観をぶっ壊しました。

誤解の無いように付け加えますが、よしりんの主張を全て肯定している訳ではありません。私は、今まで私が学校で学んできたこと、テレビや人の話で見聞きしたこと、そういったものが当たり前に「正しい!」と盲信していた自分に気づいたということが衝撃だったんです。

南京大虐殺はあったとかなかったとか、従軍慰安婦の話って問題なのか、問題ではなかったのかとか、そういった「どちらが本当?」みたいなことは正直私には分かりません。対立する意見を主張する両者はそれぞれエビデンスに基づいた発言をしていますし、その根拠が事実なのか捏造なのか、はたまたどっちが先でどっちが後でみたいなことは、私には判断ができませんし、知識の無い私がするべきでもないと思ってます。

ただ立場が違えば考え方も受け取り方も変わるし、同じ日本人という立場だとしても意見は個人で分かれます。そういった価値観の多様性が世の中にあることや、唯一無二の正解みたいなものって無いのかもっていうことに気づけたことが私にとって非常に大きな転換になったのです。

以上5作品です。

挙げればもっともっといっぱい私の人生に影響を与え、今の私のアイデンティティーを形成してくれたマンガはいっぱいあるんですが、それはまた別の機会があれば紹介したいと思います。

マンガはただの娯楽作品として扱ってしまえば、なんの得にも生産性もないものかもしれません。ただ私たちの受け取り方次第では、人生のバイブルにも成り得ます。インプットした情報をどう咀嚼し、血肉にしていくかで価値観はアップデートできますし、キャパシティを広げることもできると思います。

紹介したマンガはリンクから購入することができますので、興味がある方は是非読んでみてください。

以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。

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吾唯足知
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