WSDは旅の途中
WSD(ワークショップデザイナー育成プログラム)受講後の気持ち
9月から青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラムを受講しました。
なんとか走り切った感じです。
終わった後はなんとも言えない安堵感と充実感でした。
もっていたワークショップのジレンマ
仕事柄、企業や大学でたくさんの研修やセミナーをやってきました。
いろんなワークもやるのですが、ジレンマを抱えていました。
私自身は個々の参加者が気になる、しかし、全体の研修を動かすとなると、一人ではなく全体感も大事にしたい。効率よくかつ効果的に全体を動かしたい。そうなると葛藤がうまれるのです。
無理にどこかにいざなっているのではないかというジレンマです。
共感すれば伝播する
ワークショップの理論と実践を螺旋階段のように学びました。
新しく知ったこと、確認したこと、腹落ちしたことがたくさんありました。自分の思考特性や行動特性とも向き合う時間でした。
その中でも一番、心に刻んだのは佐伯胖先生の言葉です。
コミュニケーションの場づくりのスタートは「わかろうとすること」。共に入り込むことであり、心を通い合えたかということ。
つまり、共感的関りであり、人の中にある予想していないことが起こる力「根源的能動性」に目を向けること、でした。
そして、この喜びは周囲に伝播するということを知り、大げさな表現かもしれませんが、私は心が震えました。
カウンセリングの定義となる「クライアントが自己理解を深め、よい(積極的・建設的)意思決定という形で行動がとれるように援助する」(Edwin L.Herr の言葉より)とつながるものでもありました。
思い出したある学生のこと
キャリアコンサルタントとして新米の頃、ある大学でキャリアデザインの連続授業を持っていました。
クラスにいつもマスクをしている学生がいました。
かなり以前ですので当時は常時マスクは珍しく、目立っていました。目立つ理由はもう一つ、その学生は無遅刻無欠席なのですが、ワークで全くしゃべらないのです。表情も変えない、ただそこにいるという状態でした。
当時の私は気持ちの余裕もなく、クラス全体よりもこの学生に気持ちが向きすぎました。いつも反省をしながら、でもどうあるべきか葛藤しました。しかし何かがあるような気がして、一生懸命、向き合おうとしました。
最後のプレゼンテーション授業でその学生はマスクをしたまま最前列の人しか聞こえないぐらいの小さな声でしたが、発表をしました。気持ちが伝わるとても濃い内容でした。そうするといつもふざけてばかりいる学生がいつもと違う真剣な発表をしたのです。
終わった後、私はとても温かな気持ちになり、私自身がエールをもらえた気持ちになったことを思い出しました。
いろいろなことに慣れてきた今、引き出しにしまっていたかもしれません。
そしてこれが佐伯先生の言われた『伝播』なのかと思いました。
これからは創造する場づくりへ
「温かな創造の場でありたい」
WSD最後の授業で書いた私の宣言です。
故郷、鹿児島の海、錦江湾のように外に広がっているけどどこか温かな穏やかな空気。
先の見えない今、多様な人たちともっと生きやすい社会を創造したい。
そのためには私はもっと「根源的自発性」を信じられるようになりたいと思います。相手に委ねることができるようになりたいと思います。
とにかくせっかちな性分ですので、意識的に「待った」をかけて、共感が伝播することを信じて、ゆったりと粘り強くタフに創造する場を作れるようになりたい。
そのことを気付かせてくれたWSDでした。先生方、事務局のみなさん、同期の仲間たちに心から感謝。
さて、まだまだ旅は続きます。
長文をお読みくださり、ありがとうございました。
最後まで読んでくださってありがとうございます。