【旅行記】福島・三陸旅行 準備編
概要
2022年11月22日〜24日の2泊3日で、福島県を中心に、東北をめぐる旅行に行った。1年半ぶりの一人旅だ。
この旅行には、他の旅行とは違い、はっきりとした動機があった。また、宿泊地へ向かう手段にも、こだわりたいところがあった。そこで今回の記事では、この旅行に行ったきっかけと、宿泊地である仙台までの行き方について書いてみようと思う。
旅行に行くきっかけの話
普段、旅行の目的地を選ぶ理由に、そんなに深い理由があるわけではない。「今まで行ったことのないところだから行ってみたい」とか、「前行って良かったところだからまた行きたい」とか、そんなものだ。そういう意味では、今回の旅行はいつもと違った。この旅行に行くことを考えたきっかけは、大学1年生の時に履修した授業がきっかけだった。
私が履修したある授業で、主として風評被害について扱う講義があった。題材はそればかりではなかったが、もっぱら記憶に残っているのは3.11、東日本大震災に関する内容だ。3.11で特に風評被害を受ける対象となった地域が、福島県である。言うまでもなく、福島第一原発事故により放射性物質が漏出したことが原因だ。
そして、全部で13回ある講義のうち数回では、ゲストスピーカーとして、いわば風評被害の「当事者」とでもいうべき複数の方が招かれ、講義を行われた。東京電力の元関係者の方、地域の再生に取り組んでおられる方、地元メディアでお仕事をされる方など、さまざまな立場の方が招かれ、いずれからも非常に興味深い話を聞くことができた。ここでその内容を紹介することはしないが、話を聞いているうちに、福島に行ってみたい、という思いが芽生えてきた。それは単に物見遊山に行きたい、というわけではなくて、ハード面での「復旧」、それからソフト面での「復興」がそれぞれどのように進んでいるのか、自分の目で見て確かめたい、というのが理由だ。
また、特にそれぞれの講義で話される内容のうち心に残った内容、またゲストスピーカーの方々が楽しそうに話されていた(という印象を私が持った)内容が、地元の名物や、特産物についての話だった。そのうちの一つに、「夜ノ森の桜並木」がある。夜ノ森駅の駅前通りから少し行った通りの南北に、道路のすぐ側のところに桜並木が現れる。以来、桜のシーズンが到来するたびに、夜ノ森に行きたい、と言っている。
(ところで、夜ノ森の桜並木は、「100日後に死ぬワニ」で、ワニが最後に轢かれて死んでしまう桜並木の道路と、よく似ている)
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行く場所決め
そこで、私は旅行1日目、すなわち東北への往路で、講義で紹介されたいくつかの場所を訪問することにした。
まず1つ目が、塩屋埼灯台である。
3.11による津波で亡くなった少女が、生前この場所を絵にしたという。そしてその絵は、ハンカチとして売られるようになったほか、小さなモニュメントとして灯台の近くに残されている(以下の記事に詳しい)。
2つ目は、東京電力廃炉資料館である。
東京電力自ら、福島第一原発事故について省みて、廃炉に向けた作業等についての展示を行うほか、ガイドによる解説を行っている。ここで、東電が廃炉作業を含め、地域の復興にどのように寄与していくのかなど、いわば「原発事故のあとしまつ」について、どのような考えを持っているのか、聞いてみたいと思った。
2ヶ所というのはいささか少ない気もするが、時間の都合上、1日目に回れる場所はこのくらいになりそうだ、との予想をつけていた。それは、往路の交通手段が原因である。
ちなみに、2日目と3日目での訪問地は、それぞれの記事でお伝えできればと思う。
どうやって東北に行くか
今回の旅行は2泊3日で行くが、2泊とも仙台に泊まることにした。そこで1日目では、1日のうちに仙台に行かなければならない。飛行機や新幹線を使えばあっという間だろうが、上で紹介した2つの場所に行くには、車で行くのが一番便利だ。そこで、仙台まで家の車(私は学生であり、自分の車は所有していないため、両親の車である)で行くことにした。
車で行くとなると、次はどの道路を通るか、ということが問題になる。ところで、この旅行を企画する前に、こんなサイトを見つけていた。
要は、日本に400とかある国道を全て自分で運転する、という趣旨のものだ。これを見て、面白いことをしているな、と思った。自分でやってみたいとさえ思った。
私は自分の車を持っているわけでもないし、第一膨大なお金と時間が必要だろうから、自分で全ての国道を走破するということは、(現時点では)現実的ではない。しかし、1本の国道くらいなら走破することはできる。そこで、今回の旅行で私は、仙台に行くまでの経路として、国道6号を走破することにした。
国道6号は、東京・日本橋から仙台・苦竹ICまでの間を、茨城県や福島県浜通りを経由して結んでいる道路である。JR常磐線とほぼ同じ経路、というと分かりやすいかもしれない。岩沼で、東京から青森を奥州街道沿いに結ぶ国道4号と合流するのも、常磐線と同じだ(常磐線は岩沼駅で東北本線と合流する)。そしてその道中には、福島第一原発事故の影響で、現在も帰還困難区域となっている場所もある。帰還困難区域についても、どのような様子になっているのか、自分の目で見て確かめたい、という思いがあった。そうすると、国道6号走破、というのは、まさに今回の旅行にうってつけだ。
とは言っても、国道6号は380kmほどある。そして一般道である以上、走行には時間がかかる。道中目的地に寄ることや、休憩することも考えると、運転には13時間ほど見込んだ方が良さそうだった。目的地が2つしかないのは、これが理由である。
次回:1日目