第十七章 二つの顔をもつ男 9
「それで、君たち二人のほうはどうしたんだい?」ハリーが聞いた。
「えぇ、私、ちゃんと戻れたわ。私、ロンの意識を回復させて…ちょっと手間がかかったけど…そしてダンブルドアに連絡するために、二人でふくろう小屋に行ったら、玄関ホールで本人と出会ったの…。ダンブルドアはもう知っていたわ…『ハリーはもう追いかけて行ってしまったんだね』とそれだけ言うと、矢のように四階にかけていったわ」
「ダンブルドアは君がこんなことをするように仕向けたんだろうか?だって君のお父さんのマントを送ったりして」
とロンが言った。
「もしも…」
ハーマイオニーがカッとなって言った。
「もしも、そんなことをしたんだったら…言わせてもらうわ…ひどいじゃない。ハリーは殺されてたかもしれないのよ」
「ううん、そうじゃないさ」
ハリーが考えをまとめながら答えた。
「ダンブルドアっておかしな人なんだ。たぶん、僕にチャンスを与えたいって気持ちがあったんだと思う。僕たちがやろうとしていたことを、相当知っていたんじゃないのかな。僕たちを止めないで、むしろ僕たちの役に立つよう、必要なことだけを教えてくれたんだ。鏡の仕組みがわかるように仕向けてくれたのも偶然じゃなかったんだ。僕にそのつもりがあるのなら、ヴォルデモートと対決する権利があるって、あの人はそう考えていたような気がする…」
「あぁ、ダンブルドアってまったく変わっているよな」
ロンが誇らしげに言った。
「ねえ、あしたは学年末のパーティーがあるんだから元気になって起きてこなくちゃ。得点は全部計算がすんで、もちろんスリザリン寮が勝ったんだ。君が最後のクィディッチ試合に出られなかったから、レイブンクローにこてんぱんにやられてしまったよ。でもごちそうはあるよ」
その時マダム・ポンフリーが勢いよく入ってきて、きっぱりと言った。
「もう十五分経ちましたよ。さあ、出なさい」
その夜はぐっすり眠ったので、ハリーはほとんど回復したように感じた。
「パーティーに出たいんですけど、行ってもいいでしょうか」
山のような菓子の箱を片づけているマダム・ポンフリーにハリーは頼んだ。
「ダンブルドア先生が行かせてあげるようにとおっしゃいました」
マダム・ポンフリーは鼻をフンと鳴らした。ダンブルドア先生はパーティーの危険性をご存じないとでも言いたげだった。
「ああそれから、また面会の人が来てますよ」
「うれしいなぁ。誰?」
ハリーの言葉が終わらないうちに、ハグリッドがドアから体を斜めにして入ってきた。
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