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第15章 クィディッチ優勝戦 8

ぎりぎりのところで、ハリーはファイアボルトを上に向けた。
ボールとデリックがボクッといやな音を立てて正面衝突した。
「ハッハーだ!」
スリザリンのビーター二人が、頭を抱えてフラフラと離れるのを見て、リー・ジョーダンが叫んだ。
「お気の毒さま!ファイアボルトに勝てるもんか!顔を洗って出直せ!さて、またまたグリフィンドールのボールです。ジョンソンがクアッフルを手にしています__フリントがマークしています__アンジェリーナ、やつの目を突ついてやれ!__あ、ほんの冗談です。先生。冗談ですよ__ああ、ダメだ__フリントがボールを取りました。フリント、グリフィンドールのゴールめがけて飛びます。それっ、ウッド、ブロックしろ!__」
しかし、フリントが得点し、スリザリン側から大きな歓声が巻き起こった。
リーがさんざん悪態をついたので、マクゴナガル先生は魔法のマイクをリーからひったくろうとした。
「すみません、先生。すみません!二度と言いませんから!さて、グリフィンドール、三十対十でリードです。ボールはグリフィンドール側__」

試合はハリーがいままで参加した中で最悪の泥仕合となった。
グリフィンドールが早々とリードを奪ったことに頭にきたスリザリンは、たちまち、クアッフルを奪うためには手段を選ばない戦法に出た。
ボールはアリシアを棍棒でなぐり、「ブラッジャーとまちがえた」と言い逃れしようとした。
仕返しに、ジョージ・ウィーズリーがボールの横っ面に肘鉄を食らわせた。フーチ先生は両チームからペナルティーを取り、ウッドが二度目のファイン・プレーで、スコアは四十対十、グリフィンドールのリードだ。

スニッチはまた見えなくなった。ハリーは試合の渦中から離れて舞い上がり、スニッチを探したが、マルフォイはまだハリーに密着していた__ここでグリフィンドールが一旦、五十点の差をつけたら……。
ケイティが得点し、五十対十。スリザリンが得点の仕返しをしかねないと、フレッドとジョージ・ウィーズリーが棍棒を振り上げてケイティの周りを飛び回った。
ボールとデリックが双子のいないすきを突き、ブラッジャーでウッドを狙い撃ちした。二個とも続けてウッドの腹に命中し、ウッドはウッと言って宙返りし、かろうじて箒にしがみついた。
フーチ先生が怒りでぶっとんだ。
「クアッフルがゴール区域に入っていないのにキーパーを襲うとは何事ですか!」
フーチ先生がボールとデリックに向かって叫んだ。
「ペナルティー・ゴール!グリフィンドール!」
アンジェリーナが得点。六十対十。その直後、フレッド・ウィーズリーがブラッジャーをワリントンにめがけて強打し、ワリントンが持っていたクアッフルを取り落とし、それをアリシアが奪ってゴールを決めた。七十対十。

観客席ではグリフィンドール応援団が声をからして叫んでいる__グリフィンドール六十点のリード。ここでもしハリーがスニッチをつかめば、優勝杯はいただきだ。
ほかの選手より一段高いところで、マルフォイにマークされながらフィールドを飛び回っているハリーを、何百という目が追っている。ハリーはその視線を感じた。
そして、見つけた。スニッチが自分の六、七メートル上でキラキラしているのを、ハリーは見つけた。

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