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第12章 三大魔法学校対抗試合 4

「アッカリー、スチュワート!」
進み出た男の子は、頭のてっぺんから爪先まで、傍目はためにもわかるほど震えていた。組分け帽子を取り上げ、被り、椅子に座った。
レイブンクロー!」帽子が叫んだ。
スチュワート・アッカリーは帽子を脱ぎ、急いでレイブンクローのテーブルに行き、みんなの拍手に迎えられて席に着いた。
スチュワート・アッカリーを拍手で歓迎しているレイブンクローのシーカー、チョウ・チャンの姿が、チラリとハリーの目に入った。ほんの一瞬、ハリーは自分もレイブンクローのテーブルに座りたいという奇妙な気持になった。

「パドック、マルコム!」
スリザリン!
大広間のむこう側のテーブルから歓声があがった。パドックがスリザリンのテーブルに着き、マルフォイが拍手している姿をハリーは見た。
スリザリン寮は多くの「闇の魔法使い」を輩出はいしゅつしてきたということを、パドックは知っているのだろうか。マルコム・パドックが着席すると、フレッドとジョージがあざけるように舌を鳴らした。

「ブランストーン、エレノア!」
ハッフルパフ!
「コールドウェル、オーエン!」
ハッフルパフ!
「クリービー、デニス!」
チビのデニス・クリービーは、ハグリッドのオーバーにつまずいでつんのめった。
ちょうどそのとき、ハグリッドが教職員テーブルの後ろにある扉から、体を斜めにしてそっと入ってきた。
背丈は普通の二倍、横幅は少なくとも普通の三倍はあろうというハグリッドは、モジャモジャともつれた長い髪も髭も真っ黒で、見るからにドキリとさせられる__まちがった印象を与えてしまうのだ。
ハリー、ロン、ハーマイオニーは、ハグリッドがどんなにやさしいか知っていた。教職員のテーブルの一番端に座りながら、ハグリッドは三人にウィンクし、デニス・クリービーが組分け帽子を被るのをじっと見た。
帽子のツバ元の裂け目が大きく開いた__。
「グリフィンドール!」帽子が叫んだ。
ハグリッドがグリフィンドール生と一緒に手を叩く中、デニス・クリービーはニッコリ笑って帽子を脱ぎ、それを椅子に戻し、急いで兄のところにやってきた。

「コリン、僕、落っこちたんだ!」
デニスは空いた席に飛び込みながら、甲高い声で言った。
「すごかったよ!そしたら、水の中の何かが僕を捕まえてボートに押し戻したんだ!」
「すっごい!」
コリンも同じぐらい興奮していた。
「たぶん、それ、デニス、大イカだよ!」
ウワーッ!
デニスが叫んだ。嵐に波立つ底知れない湖に投げ込まれ、巨大な湖の怪物によってまた押し戻されるなんて、こんなすてきなことは、願ったって滅多に叶うものじゃない、と言わんばかりのデニスの声だ。
「デニス!デニス!あそこに入る人、ね?黒い髪でメガネかけてる人、ね?見える?デニス、あの人、だれか知ってる?
ハリーはそっぽを向いて、いまエマ・ドブスに取りかかった組分け帽子をじっと見つめた。

組分けが延々続く。男の子も女の子も、怖がり方もさまざまに、一人、また一人と三本脚の椅子に腰かけ、残りの子の列がゆっくりと短くなってきた。
マクゴナガル先生はエルで始まる名前を終えたところだ。

「ああ、早くしてくれよ」ロンは胃のあたりをさすりながら呻いた。
「まあ、まあ、ロン。組分けのほうが食事より大切ですよ」
「ほとんど首なしニック」がそう声をかけたときに、「マッドリー、ローラ!」がハッフルパフに決まった。
「そうだとも。死んでなければね」ロンが言い返した。
「今年のグリフィンドール生が優秀だといいですね」
「マクドナルド、ナタリー!」がグリフィンドールのテーブルに着くのを拍手で迎えながら、「ほとんど首なしニック」が言った。
「連続優勝を崩したくないですから。ね?」
グリフィンドールは、寮対抗杯でこの三年間連続優勝していた。

「プリチャード、グラハム!」
スリザリン!
「クァーク、オーラ!」
レイブンクロー!
そしてやっと、「ホイットビー、ケビン!」(「ハッフルパフ!」)で、組分けは終わった。
マクゴナガル先生は「帽子」と「丸椅子」を取り上げ、片づけた。
「いよいよだ」
ロンはナイフとフォークを握り、自分の金の皿をいまや遅しと見守った。

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