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第4章 再び「隠れ穴」へ 4

ダドリーが突然居間に戻ってきた。トランクがゴツンゴツン階段に当たる音が聞こえたので、ダドリーが音に怯えてキッチンから出てきたのだと、ハリーには察しがついた。

ダドリーはウィーズリー氏を恐々こわごわ見つめながら壁伝いにソロソロと歩き、母親と父親の陰に隠れようとした。
残念ながら、バーノンおじさんの図体でさえ、ペチュニアおばさんを隠すのには十分でも、ダドリーを覆い隠すにはとうてい間に会わなかった。

「ああ、この子が君のいとこか。そうだね、ハリー?」
ウィーズリー氏はなんとかして会話を成り立たせようと、勇敢にもう一言突っ込みを入れた。
「そう。ダドリーです」ハリーが答えた。
ハリーはロンと目を見交わし、急いで互いに顔を背けた。吹き出したくてがまんできなくなりそうだった。
ダドリーは尻が抜け落ちるのを心配しているかのように、しっかり尻を押さえたままだった。ところがウィーズリー氏は、この奇怪な行動を心から心配したようだった。

ウィーズリー氏が次に口を開いたとき、その口調に気持が表われていた。ダーズリー夫妻がウィーズリー氏を変だと思ったように、ウィーズリー氏もダドリーを変だと思ったらしい。それがハリーにははっきりわかった。
ただ、ウィーズリー氏の場合は、恐怖心からではなく、気の毒に思う気持からだというところが違っていた。
「ダドリー、夏休みは楽しいかね?」
ウィーズリー氏がやさしく声をかけた。
ダドリーはヒッと低い悲鳴をあげた。巨大な尻に当てた手が、さらにきつく尻を絞めつけたのをハリーは見た。

フレッドとジョージがハリーの学校用のトランクを持って居間に戻ってきた。入るなり部屋をさっと見渡し、ダドリーを見つけると、二人の顔がそっくり同じに、ニヤリと悪戯いたずらっぽく笑った。

「あー、では」ウィーズリー氏が言った。「そろそろ行こうか」
ウィーズリー氏がローブの袖をたくし上げて、杖を取り出すと、ダーズリー一家が一塊になって壁に張りついた。
インセンディオ!燃えよ!
ウィーズリー氏が背後の壁の穴に向かって杖を向けた。

たちまち暖炉に炎が上がり、何時間も燃え続けていたかのように、パチパチと楽しげな音を立てた。
ウィーズリー氏はポケットから小さな巾着袋を取り出し、紐をほどき、中の粉を一摘ひとつまみ炎の中に投げ入れた。すると炎はエメラルド色に変わり、一層高く燃え上がった。

「さあ、フレッド、行きなさい」ウィーズリー氏が声をかけた。
「いま行くよ。あっ、しまった__ちょっと待って__」フレッドが言った。
フレッドのポケットから、菓子袋が落ち、中身がそこら中に転がりだした__色鮮やかな包み紙に包まれた、大きなうまそうなヌガーだった。

フレッドは急いで中身をかき集め、ポケットに突っ込み、ダーズリー一家に愛想よく手を振って炎に向かってまっすぐ進み、火の中に入ると「隠れ穴!」と唱えた。
ペチュニアおばさんが身震いしながらあっと息を呑んだ。ヒュッという音とともに、フレッドの姿が消えた。

「よし。次はジョージ。おまえとトランクだ」ウィーズリー氏が言った。
ジョージがトランクを炎のところに運ぶのをハリーが手伝い、トランクを縦にして抱えやすくした。ジョージが「隠れ穴!」と叫び、もう一度ヒュッという音がして、消えた。

「ロン、次だ」ウィーズリー氏が言った。
「じゃあね」
ロンがダーズリー一家に明るく声をかけた。ハリーに向かってニッコリ笑いかけてから、ロンは火の中に入り、「隠れ穴!」と叫び、そして姿を消した。

ハリーとウィーズリー氏だけがあとに残った。

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