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第18章 ドビーのごほうび 2

わしが一番興味があるのは」ダンブルドアがやさしく言った。
「ヴォルデモート卿が、どうやってジニーに魔法をかけたかということじゃな。わしの個人的情報によれば、ヴォルデモートは、現在アルバニアの森にかくれているらしいが」
__よかった__暖かい、すばらしい、うねるような安堵感が、ハリーの全身を包んだ。

「な、なんですって?」ウィーズリー氏がキョトンとした声をあげた。
「『例のあの人』が?ジニーに、ま、魔法をかけたと?でも、ジニーはそんな…ジニーはこれまでそんな…それともほんとうに?」
「この日記だったんです」
ハリーは急いでそう言うと、日記を取り上げ、ダンブルドアに見せた。
「リドルは十六歳のときに、これを書きました」
ダンブルドアはハリーの手から日記を取り、長い折れ曲がった鼻の上から日記を見下ろし、焼け焦げ、ブヨブヨになったページを熱心に眺め回した。

「見事じゃ」ダンブルドアが静かに言った。
「たしかに、彼はホグワーツ始まって以来、最高の秀才だったと言えるじゃろう」
次にダンブルドアは、さっぱりわからないという顔をしているウィーズリー一家の方に向き直った。
「ヴォルデモート卿が、かつてトム・リドルと呼ばれていたことを知る者は、ほとんどいない。わし自身、五十年前、ホグワーツでトムを教えた。卒業後、トムは消えてしまった…遠くへ。そしてあちこちへ旅をした…闇の魔術にどっぷりと沈み込み、魔法界で最も好ましからざる者たちと交わり、危険な変身を何度もへて、ヴォルデモート卿として再び姿を現したときには、昔の面影はまったくなかった。あの聡明でハンサムな男の子、かつてここで首席だった子を、ヴォルデモート卿と結びつけて考える者は、ほとんどいなかった」

「でも、ジニーが」ウィーズリー夫人が聞いた。
「うちのジニーが、その__その人と__なんの関係が?」
「その人の、に、日記なの!」ジニーがしゃくりあげた。「あたし、いつもその日記に、か、書いてたの。そしたら、その人が、あたしに今学期中ずっと、返事をくれたの__」
ジニー!」ウィーズリー氏が仰天して叫んだ。
「パパはおまえに、なんにも教えてなかったというのかい?パパがいつも言ってただろう?脳みそがどこにあるか見えないのに、一人で勝手に考えることができるものは信用しちゃいけないって、教えただろう?どうして日記をパパかママに見せなかったの?そんな怪しげなものは、闇の魔術が詰まっていることははっきりしているのに!」
「あたし、し、知らなかった」ジニーがしゃくりあげた。
「ママが準備してくれた本の中にこれがあったの。あたし、誰かがそこに置いて行って、すっかり忘れてしまったんだろうって、そ、そう思った…」
「ミス・ウィーズリーはすぐに医務室に行きなさい」ダンブルドアが、きっぱりした口調でジニーの話を中断した。
「過酷な試練じゃったろう。処罰はなし。もっと年上の、もっと賢い魔法使いでさえ、ヴォルデモート卿にたぶらかされてきたのじゃ」
ダンブルドアはツカツカと出口まで歩いていって、ドアを開けた。
「安静にして、それに、熱い湯気の出るようなココアをマグカップ一杯飲むがよい。わしはいつもそれで元気が出る」
ダンブルドアはキラキラ輝く目でやさしくジニーを見下ろしていた。

「マダム・ポンフリーはまだ起きておる。マンドレイクのジュースをみんなに飲ませたところでな__きっと、バジリスクの犠牲者たちが、今にも目を覚ますじゃろう」
「じゃ、ハーマイオニーは大丈夫なんだ!」ロンが嬉しそうに言った。
「回復不能の障害は何もなかった」ダンブルドアが答えた。
ウィーズリー夫人がジニーを連れて出て行った。ウィーズリー氏も、まだ動揺が止まない様子だったが、あとに続いた。


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