ペースを守ってタンタンと！？ 「親せき属性」部下のポテンシャルを最大限に発揮させる方法
はじめに
「このまま進めてしまっても大丈夫なんですか？」「このやり方だとミスがでそうですけど、良いんですね」
職場でこんな発言がでたことはありませんか？ もし心当たりがあるなら、それは「親せき属性部下」が原因の中心にいるかもしれません。
ストレス環境である職場において、人には普段見せないさまざまな側面が顔をだします。その特徴や強み、そして弱みを理解すると、チームの動きがスムーズになるだけではなく最大の力を発揮するようになります。
米軍では、このストレス環境で顔をだす特性を理解するために、部下を「親」「子ども」「兄弟」「親せき」の４属性に区分する手法がとられています。
なかでも親せき属性部下は、職場で最も多い属性であり、仕事や人間関係においては適切な距離感を保ちつつ、ルールを重んじ確実性を重視します。適切に関係を構築することができれば、彼らはチームのペースメーカーとして重要な役割を果たしてくれます。ただし、柔軟性が求められる場面では疑問や疑念を持ちやすく、ときに進行の妨げとなることも。そして、かれらの最大の特徴は、仕事をしていくうちに、環境に応じて属性が変化をしていくという所です。
この記事では、親せき属性部下の特性を理解し、彼らのパフォーマンスを最大限に発揮できるようにする方法を紹介します。
親せき属性部下ってどんな人？
親せき属性部下は「ミスを防ぎ、確実に進めること」を最優先に考える堅実派です。彼らは与えられたルールや計画を守り、冷静に仕事を進める能力があります。職場での安定感を支える存在であり、プロジェクトを確実にすすめるためのペースメーカーともなりえる存在です。また、彼らは冷静にチームの動きをみており、リーダーが気がつかない摩擦や問題となりえる要因を把握しているのも特徴の１つです。
ただし、変化に弱い一面もあります。計画がくずれたり、予期せぬ問題が発生すると、彼らは疑念を抱く傾向があります。その疑念は、個人の作業効率を著しく低下させるだけではなく、チーム全体の進行にブレーキをかけることがあります。
親せき属性は、部下のなかで最も多くみられるタイプです。リーダーとして彼らのモチベーションを目標に向けることができるかどうか、ここがプロジェクト成功のカギといっても過言ではありません。
親せき属性部下のうれしいところ
このままいけば大丈夫！ ゴールに導くペースメーカー
親せき属性部下の最も大きな強みは、堅実で安定した仕事ぶりにあります。彼らはルールや計画をしっかり守り、ミスの少ない成果を提供することで、チーム全体の信頼感を支えます。彼らの存在が、プロジェクト全体のペースを整えます。
また、親せき属性部下の堅実な仕事ぶりは、周囲のメンバーにも良い影響を与えます。たとえば細かいミスが多発しやすいプロジェクトの初期段階において、彼らが落ち着いて作業を進めることで他のメンバーも「このプロジェクトは安心して進められる」と感じ、集中して仕事にとり組むことができます。
こうしてチームに安定感をもたらすことで、リーダーは大きな判断に集中できるようになります。
このままいって大丈夫？ チームの冷静なご意見番
親せき属性部下の行動原理の根底は、人間関係や仕事に対して一定の距離を保ちたいというものです。この距離感がゆえに、チームの人間関係を冷静に見ているのも彼らの特性です。メンバー間で意見がぶつかるような場面でも、感情的にならずに対立の背景や原因をくみとることができます。彼らの冷静な視点は、リーダーが見落としがちなメンバーの状態に気づくきっかけを与えます。
またプロジェクトの潜在的な問題点に、いち早く気がつきやすいのも親戚属性部下の特徴です。リーダーが、彼らの気がついたリスクや矛盾をいち早く把握することができれば、チームを危機から救うことができます。
彼らの感じていることをくみ取ることができれば、リーダーが冷静に判断を下すための強力なサポートとなります。
親せき属性部下のこまったところ
本当にこれであってるの……？
親せき属性部下は、慎重であるがゆえに疑念を抱くと作業効率が極端に低下する傾向があります。
「この方法で本当に大丈夫だろうか？」とリスクや不安を深く考えこんでしまうと、彼らの手はとまりがちになります。そしてリーダーが明確な回答を行わない限り、彼らの疑念はさらに強まります。そして結果的に、業務そのものが滞りはじめます。
みんなも本当は、ダメだとおもってるんじゃない？
親せき属性部下が疑念をいだいて作業効率が低下すると、その雰囲気は他のメンバーにも伝わります。彼らの不安や迷いがチーム全体に波及してプロジェクト全体の進行に影響をあたえます。
その結果、チーム全体のモチベーションが低下し、プロジェクトの進行速度が著しく低下することがあります。
また、親せき属性部下の疑念がチーム内の雰囲気を悪化させるケースもあります。疑念が続くと「本当にこのプロジェクトは成功するのか？」といった不安が他のメンバーに広がり、全体のモチベーションの極端に低下させます。このような状態を放置すると、チーム全体のパフォーマンスが長期的にさがってしまう可能性があります。
親戚属性部下のパフォーマンスを最大限に発揮させるには
行動を評価して伝える。
親せき属性部下の行動の特徴は「堅実・確実」です。そのため彼らの行動は、他属性の部下の行動に隠れがちです。
しかしそれは、規則やルールに基づいて行動しているがゆえであることを忘れてはいけません。
ここで重要なことは、評価したことを必ず口に出して伝えることです。もしかしたら、あなたは「〇〇君のことを、こんなに評価しているのだから当然、つたわっている」と考えるかもしれません。しかし、それは幻想です。彼らはルールにもとづいて、懸命に目のまえの仕事に取りくんでいます。ましてや問題などが発生しようものなら、自分のことで精いっぱいになるのは当たりまえです。そこに上司の思いを感じとる余裕が発生することは、極めて稀であることを認識しましょう。
疑問・疑念に対して明確に回答する。
親せき属性部下の慎重さからくる疑問や疑念には、明確に回答することが必要です。
ここで重要なことは、疑問や疑念にたいして理由を明確にして全てに回答をすることです。「ここまで言えば、当然、わかってくれるだろう」という希望的観測は絶対にやめましょう。リーダーと部下は、同じ目標に向かってがんばる仲間です。しかし、目的や仕事に対するアプローチが、必ずしも一致するとは限りません。リーダーの考えや仕事の方向性は、明確に伝えましょう。そして、それが伝わっているかどうか、しっかり実行されているかを確認・監督してズレを修正していくことが大切です。
まとめ
親せき属性部下の魅力は、ルールやペースを守る堅実さです。彼らの強みを活かすことで、チームに安定感をもたらし、プロジェクトを確実にゴールへと導けます。しかし、慎重すぎるあまり、何か疑問や疑念が発生すると柔軟性がなくなり作業効率が低下するという特徴があります。
行動を評価して伝える。そして、疑問や疑念に明確に回答していくことで親戚属性部下はその力を最大限に発揮します。彼らが安心して取りくめる環境を整え、チーム全体の成功を支える大切な存在として育てていきましょう。