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携帯依存症がスマホの全データを消してみた

結果からいうと、クラウドのおかげで思ったよりもダメージを受けずに済んでいる。


もしスマホを工場出荷時の状態にすっからかんにリセットしてしまったら……写真やSNSに自分を投影しすぎるあまり、自分のこころのハードディスクまで吹き飛んでしまうような、そんな気がしていた。

「一日の中で10時間スマホを見ています」とアプリから診断され、私の世界線では1日は果たして何時間なのだと首を傾げる、そういうレベルで携帯依存症の私。

私が片時もスマホを手放せないがために0歳の娘は生後半年ごろから私のスマホを触りたがり、いつのまにかひとりでカメラを立ちあげることもできるようになってしまった。(ホーム画面長押しでカメラが起動することを覚えた)


そんな依存レベルの携帯狂がどうして突然リセットをしようとしたか。理由はシンプルで、2年ほど使い続けて溜まりに溜まったキャッシュがスマホの容量を圧迫してしまった。

256GBの容量の中でなんと50GB以上がキャッシュになっており、日々増えゆく娘の写真や動画に居場所を追われるように1日1つずつアプリを消し続けていた。気が付けばオンライン銀行のアプリまで消したところでハッと我に返り「キャッシュの削除」を試みたのだった。キャッシュを消すにはデータのバックアップを取ったうえでスマホをリセットせねばならない。(リセット後にバックアップをもとにデータを復旧すればキャッシュだけ消えるという算段だ)


パソコンにバックアップを取ろうとしたものの250GBを超えるデータの同期に2時間以上かかったところでパソコン側の容量がパンクしてしまいバックアップを一からやり直すことに。

構ってほしくてぐずぐずになっている娘の相手をしながらかれこれ3~4時間ほどが経った。パソコンの容量を空けながら、短気な私の何かがぷつんと切れてしまい、あろうことかバックアップが取れていないのにそのままリセットボタンを押した。大丈夫、LINEのトーク履歴と写真さえあればどうにでもなる、とわざわざ口に出してみて自分を落ち着かせる。


リセットする、と選択すると「本当にいいですか?」と2度問われた。2度聞いた上に、最後にさらに機種のパスワードを聞いてくる。それでも、スマホの容量を空けるためにパスワードを入力する。

なにか、静かだった。娘が騒いでいるのに、スマホの画面が暗くなった途端最高潮に達していた動悸がすぅと静かになった。


恐る恐る、スマホの電源を入れる。「welcome! iPhoneX!」ざっとそんなメッセージが出たような気がする。「Siriの設定をしてください」だとか「FaceIDの設定をしてください」だとか初期設定をいろいろと問われるが、私としてはそんなことよりもLINEのトーク履歴の復旧と、写真たちだ。

この2年間のデータといえば、結婚式のデータにはじまり娘が生まれた分娩室でのムービーや、成長過程の二度と手に入らないであろう大事な写真が入っている。容量を空けるためやむを得ずとはいえ、大胆なことをしたと自分でも手に汗を握る。


LINEはアプリをダウンロードしてログインすればトーク履歴も含めてすべて元通りに、写真もGoogle Photoを入れていたのですべて余すことなく復旧できた。TwitterやInstagramのログインも問題ない。

良かった、とほっと胸をなでおろしたところで唯一、唯一メルカリだけがどうにもログインができなかった。パスワード忘れの手順で再発行するも、再発行先のYahoo!のメールアドレスに心当たりがなくて困惑。事務局に問い合わせると、本人確認書類に記載の新姓とメルカリに登録してある旧姓の不一致でログインができるようになるまで実に1週間ほどを要した。

ただ、バックアップを取らずにリセットを強行した割には、ログインできずに困ったことがメルカリだけで済んでいるというのは幸運かもしれない。

Googleにさえ裏切られなければなんとかやっていけると、またひとつズボラな知識が増えてしまった。


バックアップを取ったりリセット作業をしたりしている間、もちろんTwitterやInstagramは見ることができない。家事をして時間をしのごうと思っているのに、用事もないのになにかとスマホに手が伸びる自分がいる。

育児で家にこもりがちな私を外に連れ出してくれているのはネットに他ならないが、やはりもう少しオフラインを充実させなければ、と習い事でもしようかと、結局ここでまたスマホを手に取ろうとしてしまうのだった。


喪失感でいっぱいの夜を過ごさないといけないかと思いきや、なんとかなったことに胸をなでおろしつつ。簡単にことのあらましを書き残したところで、きちんと娘に向き合って寝かしつけをしようと思う。

矛盾のようだが、今宵もここまでお読みいただいたあなたに感謝を。ゆっくり目を休めて、おやすみなさい。

2020/11/03 こさい たろ


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