2020/6/21の金環日食は、すこしだけ珍しい
2020/6/21の日食は、日本では部分日食だけれど、インドや台湾では金環日食となります。
コロナの移動制限で台湾に行けないのは残念ですが、あと少しで皆既日食となるぐらいのギリギリ金環日食となるので、見ごたえがあることでしょう。
出典:https://www.stargaze.co.jp/200621/
夏の太陽は、実は遠い
ところでみなさんは、夏至の頃は、太陽が小さく見える季節だということをご存知でしょうか。
太陽を回る地球の軌道は、すこしだけ楕円で、夏至の頃に一番太陽から遠ざかります(遠日点は7月5日頃)。
えっ!と思うかもしれません。
夏は暑い季節なのに、太陽が遠くて、小さくみえるのだ!*
逆に、1月4日頃は、地球は太陽に一番近くなります(近日点)。寒いのにね。
日射量換算で、1月4日ごろは、7月5日ごろに比べて7%ぐらい増えるそうです。冬なのにね。
あ、でも、そのときは南半球の夏だから、南半球の夏は、太陽に近いんだ。いつも自分が常識と思ってはいけないってこと!(笑)
夏は皆既日食となりやすい(金環日食になりにくい)
皆既日食は、ご存知のとおり、月が太陽を完全に隠してしまう現象。
当然、太陽が小さいほうが起こりやすいです。
(北半球の)夏は太陽が遠いのだから、太陽が小さくて、だから月は太陽を隠しやすい。したがって、皆既日食になりやすいことになります。
逆に、冬は太陽が近いのだから、太陽が大きい。だから月は太陽を隠しにくくて、隠しきれない太陽がリング状に残りやすいのですね(金環日食)。
2020/6/21の日食は、金環日食
ここまで書くとみなさんに、「6/21の夏至の金環日食は割と珍しいな」と思ってもらえると思います。
ちょっと複雑な図を描いてみました。
太陽と月のみかけの大きさがだいたい同じ** であることは知っています。
しかし前述したとおり、わずかに楕円なので、太陽の見かけ上の大きさ(視直径)は変化します。Aのところには、太陽の大きさ(視直径)の変化を示しています。近地点では32分32秒、遠地点では31分28秒の大きさ。
Bのところは、月の大きさ(視直径)の変化を示しています。月は楕円の度合いがさらに強いので、かなり大きさが変化します。近地点では33分32秒、遠地点では29分28秒の大きさ。
太陽を中心に考えると、近日点(C)のときは、太陽が大きいので、月のほうがより大きい(皆既日食)はかなり珍しくなります。だいたい1/4の確率ですね。逆に遠地点(D)のときは、太陽は小さいので、皆既日食の確率は半分ぐらいになります。
2020/6/21の太陽(E)と月(F)の大きさはギリギリで太陽のほうが大きい。だから月は完全に太陽を隠すことができなくて、金環日食になります。もうすこし月ががんばれば、空が暗くなり、コロナの見える皆既日食になるところでした。
図で示すとこんなです。
食分 0.994。
もう、超ギリギリ。こりゃちょっと見てみたいですよね。
下は、台湾で金環日食となっている時刻の影の追っている様子。気象衛星から見ると少し暗く影が見えるはずだから、日曜はその写真を見ても面白いと思います。
グアムでも金環食となるのですが、夕刻なので、すごくロマンチックな風景になることでしょうね。これは西オーストラリアで見られた、日の出の金環食。
ちなみに、日食のときは、上ばかかり注目しがちですが、
下も向いて、木漏れ日に注目すると面白いですよ。ほら、この写真のように、欠けた太陽がたくさん見えます!!
↑の動画は、2012年の金環食のときのもの。こんな風にリング状の丸印がいっぱい見えました!
ダンボールなどに小さな孔を開けて投影してもこのように見えます(アルミホイルが便利だそうです!)
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* 歳差運動と近日点運動により、10500年で逆になります(21000年周期で繰り返す)。つまり北半球において、夏に近日点を迎え、冬に遠日点を迎えることになります。
**太陽と月の大きさが同じことは当たり前のように思っているけれど、実は1:400の奇跡とでも呼べるような現象により成り立っています→ 日食〜1:400の奇跡。
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