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実践1:リーダーのキャパ問題の解決へ

活動の現場で「リーダー(=事務局長)が経験豊富で人脈も豊富、素晴らしい。そのことが事務局長依存の原因となっている。超多忙な事務局長(=リーダー)にますます負担がかかって、様々な作業や意思決定が事務局長でストップしてしまっている」という問題がある。
「リーダーのキャパが活動の限界を作っている問題」ね。(詳細記事こちら

で、その解決のために「どん詰まりを起こしているリーダーから権限移譲をしてチーム運営にしていく…」と一般論まで書きました。

本記事は大望?の、「【実践1】実際、それをどう進めるの?」です。

【コアメンバーの3段階】

まず、ざっくり『完全ワントップ』『沈黙でワントップ』『チーム移行中』の3段階を定義します。
自分の組織がどれに一番近いか?考えてみてください。

難攻不落の、完全ワントップ
リーダーの圧倒的な経験・知識~で『完全ワントップ』の状態
1)リーダーが常に意思決定をして、それをメンバーも受け入れ、リーダーに意見することもはばかられる。
2)会議はリーダーの意思伝達の場で「リーダーが聞く耳を持たない」現状
3)実労もリーダーが多くを担っていって、「リーダーが超多忙」はコアの皆が共有。コアスタッフだからこそ遠慮しがち…。

コアのメンバーが沈黙・遠慮することで結果的にワントップ
リーダーにお伺いを立てるのは必須で、リーダーへの依存はあるものの、リーダーは聞く耳がある。会議でもコアメンバーは意見を求められる。
しかし、リーダーの実績・信頼、そして責任の差を配慮して『コアメンバーが沈黙しがちで、実質ワントップ』
1)コアスタッフが数名いて、コアメンバーが分野によって任される場合も
2)一応、会議でコアメンバーは自由に意見を言うことはできるが、遠慮しがちで大事な決定は全てリーダーの意思で
3)リーダーのキャパ問題の対応必要性について、コアメンバーの間で十分認識されていない(または、認識度合いが未確認)。

コアメンバーの頑張りで『チーム移行中』
大事な決定はリーダーが決めるけれど、コアメンバーが担当(決定)する分野もあって一部では権限移譲済み
1:同上)~コアメンバーが任される場合も。
2:会議でコアメンバーは自由に言うことができる、~リーダーの反対意見が複数人から出ることもある。
3)リーダーのキャパ問題の対応必要性について、コアメンバーの間で認識されている。

前提として、こんなイメージで書いてます。
 ■非営利の、政治・社会運動で
 ■ちゃんと関わるメンバーが2~50人 (月2回以上の参加者)
 うち、コアメンバーと言えるのは2~7人
 ■基本、メンバーはボランティア

【『チーム移行中』に一番近いなら】

問題解決は簡単です。 
・リーダーは聞く耳をもっていて、「コアスタッフでの議論」組織文化もある。さらには、コアスタッフで課題意識が認識されている のであれば、
ぶっちゃけ『会議でリーダーのキャパ問題を議題にする』ことで何か進展があるはず。

■「今、リーダーのキャパで業務や意思決定が遅れてしまっている」としても、リーダー&組織が権限移譲の経験があって、リーダーが会議でスタッフの話を聞いてくれてスタッフも発言するのだから、その「表層の問題を解決すればよい」、「チームマネジメントの成功体験は足りないとしても、その方向性・土壌がある」から「長期視点を共有し、短期の失敗や停滞を受け入れ」たうえで意思決定をすればいい。

ともかく
3段階の中でも最も解決が簡単なのが「チーム移行中」。
この段階での典型的な4つの壁(=疎外要因)などを書いていきます。
でも、当然、「完全ワントップ」「沈黙でワントップ」段階の人もぜひ読んでもらって、学びがあると思います。

【1:役割と期待の壁。】

権限移譲を疎外する、一つ目の壁は「役割と期待」 …
【役割】例:コアの中にボランティアがいる。

例えば、やる気のあるコアメンバーが何人もいても、有償スタッフは事務局長一人だけだったら、やっぱり「経験量も浅い、しかもボラに任せる」のを躊躇しちゃうのは当然

【役割】例:代表理事と雇われのスタッフの差

他にも、代表理事は連帯保証もして責任があるけれど、若いメンバーはコアスタッフとはいっても雇われの身。現状でも、自分的には忙しい。そんな中、どうして「私がその業務引き取りましょうか?」って言える?

==
実践
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・・・やっぱり、腹を割って話すことが大前提。
「実は、現状はやりたいこと・やるべきことが出来ていない。それは分かっているけど、忙しくて出来ない…」「これ以上は無理。個人の努力じゃ、どうしようもない」とリーダーが自覚する。それを言葉にしてコアで共有することが第一歩。 
 → 【宿題1】リーダーが”格好悪い”自分の状況を冷静に受け入れて、素直にシェアする、にはどうする??

・・・コアスタッフ側も「現状でも忙しくて新たな業務は増やしたくない」「組織の役割・責任が大きいスタッフ(例、役員や理事)がいる中で、自分は時間が作れても、躊躇しちゃう」といった率直な気持ちを溜めずに言うべき。「事務局長が一番大変そう」で終わらせずに「自分への期待が高すぎる」「自分の役割としては十分頑張っている」という部分も含めて相互の気持を共有しあう・言葉にする・自覚することが大事。

・・・その上で、「どうすべきなのか?」「何をせざるを得ないのか?」「苦渋の選択が求められる」「今、理想を追ったら(自分が)潰れちゃう」といった前提をコアのメンバー全員がきちんと腹落ちする

このステップが大事だと思う。

【2:給与とお金の壁。】

上記(1 コアスタッフにボランティアがいる)と要素が重なるけれど、お金。
【お金】例:事務局長とコアスタッフの給与格差

給与の差があったり、「そもそも交通費自腹で、学生の自分にとって負担」とか、そういう短期では解決できない金銭負担のストレスは多々ある。

・・・給与の格差はすぐ解決できるものではない。
じゃあどうしようもないか?諦めるしかないか?というと、そうじゃない。
「現状は〇〇だけど、今期に△△達成すれば、来期は昇給できる可能性がある」「今はこんなに大変だけど、〇〇を獲得すれば…」といった展望、具体的な計画、ビジョンを共有することで、「それなら今は我慢の時」って納得できることも。

→ 「抽象的で言葉で言う」だけじゃあ効果が薄い場合は「紙に書いて貼る」「期限や条件、数値を明示」するというのもアリですね。

【3:得意不得意の壁。】

各人の素直な気持ちを共有した上で、「理想だけを語るのを止めて、苦渋の選択」視点で具体的にどうするか?権限移譲を話し始めると…

3つ目の壁は「得意不得意」「出来る出来ない」、「常識」。
【得意不得意】例:経理が得意な田中さんは事務作業専門で
・・・実は「経理担当の田中さんは料理大好きで、今度の食イベントのビラチェックや当日のビラ配り・案内などには最適!」とかありえるかも。
・・・事務局長がやれば40分で出来る書類作成。他スタッフがやると品質も下がるし2時間かかるかもしれない。そのスタッフもあまり気が進まない…けれども、「それしか選択肢がないし、許容できるのであればやるしかない」ですね。
 → 得意不得意に囚われず、「理想を捨て」「勇気をもって分業」で。

【出来る出来ない】例:主婦のボラは午前中は参加が出来ない
・・・いやいや、「スマホで隙間時間を使える」「料理する時も音は聞けるから”講演会の要約”なら対応できる」とかあるかも!?
 → 新たな方法、不慣れな作業だったりもあるだろうから、「最低限の品質でよい」といった期待値の調整は大事。
失敗も許容する」を共有していれば、何か「出来ないことが出来るようになる」かも。
※ まあ「常識を疑うことも時には必要」って話です

【4:人間の壁。】

この記事での詳細は、「完全ワントップ」でもなく、「沈黙でワントップ」でもない。一番対応が容易な「チーム移行中」レベルでの話を書いてきた。

誰にでもある、無意識の壁 =
「リーダーは民主的な会議をする」し「自由な意見を求める」…そんな中で「一番ハードに活動してくれている」ので尊敬しかない訳ですが、実は「無意識では自分が好き勝手にやりたい」「自分が感謝され必要とされる状況を守りたい」という気持ちがあって、実は「権限移譲をしたくない」、だから「話し合いをしても、イマイチ本質からずれている感じが…」という場合もある。

で、そういう時にどう感じるか?どう考えるべきか?
■人間誰しも「自分の利益を守りたい」「べき論を語るけれど、本当の気持は違う」ってことはあるよね、と。
それは「リーダーが特別に悪人!」ではなく「普通の、並みの人間」だということ。
■リーダーに高い期待を持ちすぎて、勝手に失望しちゃうのを避けるのも、大事。

そういう風に「表は格好良いけど、実態は違うよね」的な事務局長だ、と破断したとしても、勝手に落ち込まない。「並みの人間なんだ」と受け止めて、急に「バ~カ!」と言って喧嘩したり、「いつ辞めようか」と考えはじめないようにしよう。


他にも書きたいことーすっごく大事な視点は次記事ーがあるし、「ワントップ」レベルについては一切書いていないんで、実践2,3と記事続きま~す。

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次の記事 実践2
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