大学院生による卒業論文へのアドバイス的なやつ
僕は今一応文系大学院生をやらせて頂いているので、後輩から卒業論文でアドバイスを求められることがちょっとあります。何回も違う人から聞かれるのがめんどうなので、少しまとめておこうと思います。
※僕は文系大学院生、特に専門は哲学・倫理学なので、分野によってリテラシーがそれぞれ異なると思うので、注意してください。
※ここでは日本語で書く場合を想定しています。また学部生が書く卒業論文なので、修士論文や博士論文には通用しない点もあるかもしれません。
形式はしっかり守る
まず、卒業論文を書くうえで、課された形式は絶対に守らなくてはいけません。例えば、分かりやすいところだと「何字以上」や「概要をつけて」、「いつまでに提出」など。細かいところだと、「本文のフォントは〜」や「注のポイントは〜」などなど。これらは大学や学部によって無限にパターンは異なると思います。書くとなったらその都度確認することが重要です。
形式や要項を守らないと、卒業論文を受け取ってもらえない可能性大なので、書くときには絶対に確認しましょう。要項などが与えられていない場合、先生の話をしっかり聞いて、質問するなどの対策はしなくてはいけません。
中身だけが大事というわけではありません。中身が素晴らしいものでも、形式を整えていないと、ただの紙切れになる恐れがあるので、注意してください。ホントに。
引用、参照には気を配る
論を進めるうえで、文献を引用や参照することが多いと思います。というか文献を引用や参照をしないのは、文系の論文だとありえないと思います。この引用や参照の方法がしっかりしていないと、孫引きや盗作を疑われてしまい、最悪のケースだと卒業できない可能性があります。
まず引用について、文献の引用したい箇所を「」で抜き出します。このとき、日本語の場合、一字一句間違えてはいけません。そして、その後に()で文献の情報とページ数を書きます。このとき、文献の情報も間違えてはいけません。
また、外国語で書かれた文献を引用する場合、自分で翻訳して抜き出しましょう。もともとが外国語で書かれた文献は翻訳されて日本で出版されることがほとんどです。その場合でも、引用する場合、翻訳される原文を見て、訳し直すようにしましょう。翻訳には翻訳者の解釈が含まれています。その点では翻訳書は一つの違う本とも言えるかもしれません。また、万が一誤訳がある場合、自分では責任が負えないので、自分で翻訳するのがベターです。
次に参照について、自分が文章を書く上で、参考にした文献の情報を併記しないと、盗用になる恐れがあります。なので、もし参考にした文献がある場合、文章の後に()で文献情報を書き、〜参照。と書くか、注に文献情報を書き、その後に参照。と書くようにしましょう。
これらは実は分野ごとに微妙に異なるところがあるため、もし上記の書き方以外をしている場合や先生に指摘された場合、そちらに従うべきです。
転用や盗用の疑惑はいいものではないので、できるだけ避けるような引用、参照方法をするようにしましょう。
キレイなレイアウトを意識する
レイアウトは上記の形式で定められていないところで考えるところです。上記の形式は守らなくてはいけないことです。それにたいして、レイアウトは守ったほうがいいことです。
レイアウトを整える手段は無数にあります。両端揃えにするや注のポイントを下げる、余計な余白を削るなど。これらは自分の論文がキレイに見えるための手段です。中身がどんなに素晴らしくても、レイアウトが整っていなく、雑多な印象を受ける書き方をしてると、自分が魂を込めて書いた論文が正当な評価を受けることができない可能性があります。
キレイなレイアウトを意識することはした方がいいことです。ただしやはり注意しなくてはいけないのは、形式や引用や参照の仕方は絶対に守り、その上でレイアウトを整えることです。もし、先生にダメと言われたら潔く諦めましょう。
一次文献にエネルギーをつぎ込む
文献には一次文献と二次文献があるのは知っていると思います。一次文献は研究対象の文献、二次文献はその研究対象の文献の説明になる文献です。さらには研究対象の文献を踏まえて違う立場をとるような、一・五次文献みたいなものもあります。
ただ、研究対象の一次文献に90%くらいのエネルギーをつぎ込むこみましょう。大切なのは、一次文献を読んで、自分の解釈を持つことだと思います。それができておらず、二次文献のパッチワークみたいな論文を書くのは避けましょう。二次文献をまとめる論文とかもありますが、その場合、二次文献たちがどのような関係か、どの部分が問題となっているかを把握しないといけないです。
また、一次文献が文庫などで手に入りやすい場合、買うべきだと思います。一次文献を読み、その本に自分が重要だと思ったところに線を引き、コメントを書き込み、自分の本にしましょう。その自分の本が、もし何か困ったことが起きたときに助けてくれます。
とりあえず書く
「自分の問題意識が揺らいでいる」とか「論じ方を悩む」とか「落とし所がうまくいかない」とかいろいろ思い悩むことはあると思います。
そこで、一つだけ真理を伝えます。
卒業論文は書かなちゃ、終わらないのです。
そこで、僕は一つ言いたい。
ごちゃごちゃ言わないで書けよ
書けない理由を探すのは簡単です。そして、それをもとに書かないのも簡単です。しかも、実は書けない悩みたちは、書いたあとにもできることが多いです。ある程度書き終わった後に、中身の整合性を整えることもできるし、落とし所を変えることもできると思います。ただ、書き終わった後に、提出までの時間がないとこういったことはできません。それならとりあえず、論文を構成する中身を先につくっておき、構成は後か整えるという方法もとるのがいいと思います。
もう一度言います。
ごちゃごちゃ言わないで書けよ
書いた内容があれば、途中で問題意識が変わったとしても、白紙からのスタートは避けられます。
楽しむ
楽しくないことはしたくないと思います。「卒業できればいいから適当でいっか」という人は適当に書けばいいと思います。でも、そういうわけではないから、悩むし、書けないのだと思います。
だからこそ楽しむことが必要となります。自分が興味関心がある問題意識であるほど楽しく書けると思います。この楽しいというのは卒業論文に向き合う力になるし、終わったあとのは達成感を生みます。
というかそもそも、半年から1年かけて書く論文が楽しくないと書けるわけないと思います。書けない人は問題意識とかを楽しむことができていないのではないでしょうか。
卒業論文は自分の、自分だけの研究です。
楽しくないと損ですし、楽しくないと読む側からの評価も低いと思います。楽しくないところは読む側にも伝わるものです。
要するに
卒業論文は基本的には、自分だけの研究となります。その卒業論文が他人から紙くずという評価を受けたらどうでしょうか。いやでしょ?
なので、まず紙くずであることを避けるために、要項や先生が言ったことは守りましょう。
そして、紙くずを避け、紙束くらいになったら、自分だけの研究を、すべての熱意を捧げ、書き上げましょう。そうしたら、先生方に論文として受け取ってもらえると思います。