#24 冬支度のはじまり
気づけばあっという間に11月。
箱根駅伝やらお雑煮やらと言っていた1月はとうに過ぎ、気づけばクリーニングから戻って来たダウンのビニールを開けた。
羽毛布団を引っ張り出し、ペシャンコになっているところから復活させる。
お日さまに当てた後のあのにおいはたまらない。この温かさに包まれて眠るのはどれだけ幸せか。
関東の11月はなんてことはなく、ただ寒く、ただ乾燥するだけ。
紅葉も一通り終わった頃?などと考えるも、コンクリートだらけの東京なんぞ、色が変わるのは行き交う人々の服装だけだ。
淡々と冬に向かっていくところもあれば、そうでないところもある。
北陸では油断していると晴れ間を忘れるくらい、鉛色の時間が多くなり気づけば雪が降ってくる。
関東の数センチで大雪と言っているのはとても幸せなことで、放っておけば死活問題になりかねない。
北陸の秋の風物詩。
ザリガニのようなごっついやつが、「もうこんな季節か。」と動き出す。
オレンジパーミリオン。生鮭のような色のはずが弁当の焼鮭のような色になっている。
出番が少ないとお色直しも少ない。そんなところも裏方らしい。
秋晴れの中、ゆっくりと感覚を取り戻すように。
走るだけでは仕事にならない。
冬の北陸の足を守るため、雪をかき分け目の前の道を作っていくのだ。
そのための何をどうするか、鉄道員が1つ1つ思い出す。
こうして守られる日常。鉄道員には頭が下がる。
秋晴れの中、冷たくなった風を受けてすすきは穂を揺らす。
お日さまの中を走る気分はどうだい?
たくさん走って欲しいけど、走らないことが望まれるのは悲しいのか嬉しいのか。
また来年、お日さまの下で会いたいね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?