#14 緑、青、夏、新潟。
毎日が東京の鉛色の空の下で過ごす日々の中、久しぶりの新潟は天気予報が裏切り、気まぐれな青空を見せてくれた。
稲たちが喜ぶほど、雨は大地を潤したのかは定かではないが、空は圧倒的にお日さまと青空が優勢だ。
下に目をやると緑のじゅうたんがふさふさと風になびき、弥彦山と角田山はここが新潟なんだと誇らしげである。
ゆっくりとした風に乗るふっくらとした雲。
まだまだ降らせるぞという意気込みの一方で、もう俺の季節だ!と照り付ける日差しに夏到来を感じ、幼少期に見た富山での田園風景を、目の前の光景にどこか重ねながらシャッターを切った。
東京の無機質さと正反対の視覚、嗅覚に訴えかける風景、その結果、人が本来持っているこころの動きを久しぶりに思い出し、まだその感覚を忘れていないことにホッとした。
機能を求め過ぎた結果、大事なもの、情緒的な何かを失ってしまうのではないだろうか。
こうしてこころが動いたこと、自分のこころの足あとを、もっともっと残していきたいと心の中に刻み、車に乗り込んだ。
ある年の夏。私の新潟でのディスカバー。
『盛夏、新潟にて。』Photo by Taromaru
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