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フードロス対策の失敗と展望

広島の、年に一度、最大の食のイベント「ひろしまフードフェスティバル」へ、ローカルメイドとして参加しました。
ただただ美味しいものを作って売る、というのはローカルメイド本質から外れてしまうということで、農家さんたちが規格外として、出荷することができない野菜を購入し、フリッターとしてその場で食べられるよう。とこのようなPOPを掲げ、開催しました。


ババチャップはできないから。

当初夏頃、区役所からの依頼で、安芸区の野菜を使用して1ブースを回して欲しいとのことでした。
昨年は広島のローカルテレビへの出演もあり、特設会場にて、ポテトを売ったりケチャップを売ったり、みんなで賑やかにさせていただきました。

去年はこんな感じ。アンガールズ田中さんまで応援してくれました。

昨年の事を前提にすると、区役所の方々はババチャップのブースのイメージだったのだと思います。しかし、今回ババチャップは例年の半分以下のトマトしか収穫できず、PRする余裕もなく、また例年のようにポテトにして提供してしまうと、ジャガイモが足りず、県外のジャガイモを仕入れることになり、目的が変わってしまうということで、地元のおばあちゃんたちと一緒にポテトを売る、というスタイルは見合わせることにしました。

まずはメニューを決めて、器材の申し込み。

そのため、今年は出店を決めてすぐ、器材を申し込む段階で、メニューも決まらず、野菜の素揚げ。という事で準備を進めました。とりあえず揚げ物ができる設備だけを用意してからどうするか検討する、本末転倒な状態です。
ここで、私たちの大きな勘違いにはまだ気がつかず…

エコなのかエゴなのか

農家さんを訪ねながら、その会話の端々に読み取れる気持ち。
もともと、立派で美味しい最高のものを、世の中に出していく事が農家さんとしては一番の喜びであり、そのジョウデキの野菜の単価に苦しんでいる農家さんにとって、規格外の農産物がたくさん取れてしまうことは、恥ずかしい事であり、出来れば名前も出したくない。そんな気持ちを受け取りました。

当たり前ですね。この業界で仕事をしてきて、わかっていたはずの事なのに、軽くコンセプトを区役所の方々へ提案してしまい、一見良さそうなお話なので、そのままそのコンセプトに縛られることになってしまいました。


私のエゴ

  1. 不揃いのお野菜だって、美味しいんだ。

  2. 調理のしやすさなんて、道具でなんとでもなるよ。

  3. 広島市内にはこんな美味しい素材があるんだよ。

  4. ちゃんとしっかりお金払うから、安心してね。

農家さんの気持ち

  1. 不揃いのお野菜なんて、安いものになってしまうから、出荷したくない。

  2. 不揃いを目標に栽培しているわけではないのだから、当日までどのくらい出てしまうかわからない。

  3. 虫食いや、一部腐ったものが不揃いには含まれていて、それをわざわざ選別する事も一手間になってしまう。

  4. 一番効率的なのは、残渣(主に茎や葉など)と一緒に畑へ戻すこと。

  5. 形の悪いものは、親戚や自宅で美味しく食べている。

そもそも、出荷できないようなお野菜を我々に提供したい農家さんというのは存在しない。
…そして、そこまでお金には困っていない。


刻々と当日に近づきつつも、主となる素材は見当たらず、広く声をかけても、農家さんから特に手も上がらない状況でした。

進まない様子に区役所担当の方もソワソワと。

1ヶ月前に迫った頃、区役所さんの計らいで農家さんの集まりに出席した際、この企画の主旨説明をしていただき賛同者を募っていただきました。

聞こえの良い企画のため、数軒の方が手を挙げていただいたものの、みなさま、付き合いとか、若い人を応援するつもりでとか、私たちに協力していただいている形となっていきました。

そうして、数件の協力いただける農家さんたちのおかげで、集まった野菜たち。結果、どの野菜もそれほど悪くもないものばかり。ほんの少し傷がある程度のものばかりでした。

農家さんに何か恩返しをと思ってやってはいましたが、こうなれば、出荷するよりも高値で買い取らせていただくくらいしか、お返しするものがありません。

更に予算の出どころや行政的な問題が。

更には、広島市の予算でブースを構えるため、広島市外の主原料はNGとなってしまい、ローカルメイドとして広くお付き合いのある方々には相談できない始末。
更には同様の理由で、レモネードなど売上を担保するための加工品も広島市のレモンではないという事で出せないとのこと。同じエリアで生ビールは売ってましたけどね…🥲
そうなると、おばあちゃんたちに渡す謝礼すら捻出できないということで、お手伝いを呼ぶことさえできない状況に陥ってしまいました。

すっかり意気消沈の我々は、それならばという事で、お店を閉めて、ボランティアに徹する事に。構ってあげられないジロやジャンを横目に二日間、お店を空けて広島城北堀広場へお店を構えました。

農家さんにとっては見せたくないところ。
即席のお店感もすごく。

異色のブースで真面目に丁寧にを心がけて、ナスビ、さつまいも、サトイモ、ニンジン、マコモダケ、指先ほどのピーマンなどなど、簡単な衣に包んで揚げるフリッターです。

天ぷら屋さん方式でちょっとずつ揚げたてをご用意するイメージ。

安価のせいか、何度も何度もお買い求めいただく方もあり、初日が3時、2日目も2時半にはなくなってしまいました。
ありがとうございました。

小麦粉は、安佐町のアサーズと、河内小田の地粉を半分ずつ。お塩とひとつまみだけ甜菜糖を入れて炭酸水でのばしただけのもの。
油はお芋系は160度、お茄子やピーマンなどは180度。
じっくり揚げたり、さらりと揚げたり。
ほんとなんとなく。ご用意したにもかかわらず、本当にありがとうございました。

もう、なんか地域活性化とか関係ない感じで、目の前のご家族や酔っ払ったおじいちゃんに全力で美味しいをもらうためだけにやっていました。

お茄子、美味しいですよね。って。

そしてたくさんのお客さまが、こんな傷くらい売ったらいいのに。って言ってくださいます。
でも、農家さんにとっては単価が下がるのは死活問題。そう簡単に市場に流せないのが実情だったりします。お祭りムードの中ではそう言ったお話もできないまま、何をやっているのやら。そんな感じです。


どうしたら良いのか。

もし来年やるとしたら。

農家さんの自信作を堂々と販売する事にします。上出来さん。
みなさまそれをいかにたくさん作れるか、それにチャレンジしているのですから、それが当然です。フードロスには一旦お休みしてもらい、エコもエゴもない、自信作をご用意して、みなさまにも喜んでもらう事にしますね。残念と思う方も居てくださるとは思うのですが、わざわざイマイチのものを使わなくても、良いものはたくさんあって、それを買い取った上で代わりにPRしてもらえれば、きっと願ったり叶ったりなのだと思います。

なんだか虚しさもありますが。

何処へ向かい、誰を救うのか。
道を完全に見失ったローカルメイド。みなさまの美味しいだけを道標にこれからも進んで参ります。

ありがとうございました😊

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