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【創作】9話 夢路

【前説】
 拙著「恋する旅人」に収録している「題名のない物語」の本編、「9話 夢路」です。「題名のない物語」を読んでいただいた方には、「再読」で申し訳ありません。より楽しんでいただけるよう、アフターサービスとして、最後に補足を入れます。

以下、本文です。

 木元のスマホが、軽い音を告げる。
(夜中だというのに)
 寝足りない感覚がある。こんな時間にlineを送ってくる友人の顔が、一人だけ浮かぶ。
(もしかしたら、好きな男性とのデートの後か)
スルーしようかと考えたが、スマホを手にとる。

『紫蘇が枯れてしまったの

一行だけ表示されていた。
(屋内のポット栽培とはいえ、紫蘇を枯らした。あんなに強いのに)
 青空の下、紫蘇が溢れるように葉を実らせていた福島の風景を思う。生きにくい都会では、紫蘇を育てることさえ難しいのか。

 「ハチミツとクローバー」という古い漫画の一場面が心に浮かんだ。
『実らなかった恋に意味はあるのだろうか』
 答えはわからないけれど、僕らが睦ぶ日々は戻らないけれど、彼女に伝えたい。
「紫蘇は、君と一緒に暮らせて幸せだったと思う」
マナーモードにして、スマホを置く。
 これ以上のlineはしたくない。想いが止まらなくなる。逢いたくなる気持ちが溢れてしまう。

 逢いたい、だから今はただ眠りたい。夢で君に逢えることに期待したい。
 もう、夢でしか逢えないけれど、いつも、いつまでも君の幸せを祈っている。

【補足】
ピリカさんの企画、「曲からチャレンジ」への参加です。
【曲名 夢で逢えたら アーティスト 鈴木 雅之さん】

 ということで、昨年11月に投稿した原稿を「再投稿」という「手抜き」ですいません。
  きよこさんが、昨日、企画に参戦され

  KEROさんは2作目、

 バジルさんは、本日6作目と

 もう、刺激されまくりになりましたが、新作のネタが降りてこない。しかし、KEROさんもバジルさんも「恋愛モノ」ということで、思い出したのが、この「夢路」でした。偶々ですが、これは、あの曲のイメージから浮かんだ物語。ということで、投稿した次第です。

 で、以前も記事にしたのですが、「題名のない物語」は、この「夢路」が出発点でした。最初にこの話を思いついて、「何でこの二人は離れているの」「何で夢でしか逢えないの」「物語はハッピーエンドじゃないと駄目ですよ」と、自問自答して生まれたのが、「題名のない物語」という作品で、急いで書き上げたこともあり、「何か物足りない」という気持ちをうけて、西野目線となる「WSS」が生まれました。
 「夢路」の後、少し寝かせたのですが、その後は10日くらいで一気に書き上げた「ノリと勢い」の作品となりました。

 また、この「題名のない物語」を読んだ後輩の感想を受けて「黒田製作所物語」に着手しましたので、ある意味では「黒田」の出発点であるとも言えます。
 夢路だけでは、短すぎて物足りない方は、是非、本編をお楽しみください。なお、レビューがとても面白いので、レビューだけでも読んでいただきますようお願いします。





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福島太郎
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