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【企画参加】ペンションのディナー

「先にお飲み物お伺いしましょうか?」
 那須高原にある小さなペンションの食堂に、客は僕たち3人しかいなかった。ウェイターに、恭しく聞かれた僕は、お酒を我慢するのを止めることにした。
「それでは、赤ワインをグラスで一つ、お願いします」
 ウエイターは静かに頷くと、続けて尋ねた。
「奥様も、同じでよろしいでしょうか」
 奥様と呼ばれた、向かい側に座っていた長女はメニューから目を離し、顔をあげて、僕を見つめた。言葉にはならないが、目が泳いでいた。
( ゚Д゚)ハァ?
 その隣にいる2女も同じような顔をしている。
( ゚Д゚)ハァ?
「いや、二人にはノンアルコールをお願いします」
とりあえず、そう伝えると、娘たちは、それぞれにドリンクをオーダーした。

 僕は心の中で呟いた。
「謎は全て解けた」
 ペンションのウェブサイトを閲覧していた際に、
『12才までは子ども料金、13才からは大人料金です』
という文言を見つけたため、電話で宿泊予約をする際に、
「大人2人、子ども1人で宿泊をお願いします」
 と話していたことを思い出したのである。

「お姉ちゃん老けて見えるから、奥さんに見られたのね」
「そんなことないもん」
 という姉妹の会話を聞き、ウエイターの顔が一瞬曇ったように見えたが、そこは、流石プロである。すぐに何事もなかったような顔で、
「メインは、お魚かお肉が選べますが」
 三人の顔を見比べるように眺めながら続けた
「ご注文はいかがなさいますか?」

(本文、ここまで606文字です)
ということで、ここからは、いつものように駄文とネタバレです。本稿は、題名にあるとおり、こちらの「たいら@ショートショート」さんの企画参加です。 #たいらとショートショート

 で、ネタバレになりますが、子どもたちがローティーンの頃の「実話」です。ちなみに、子どもたちは童顔です。写真ははばかられますが、ハイティーンのイメージは、こちらのイラストみたいな感じです。

真ん中が長女、右が2女になります。イラストは「森田はぐみさん」に描いていただきました。こちらの方です。

 そして、「ワイン」から「森田はぐみさん」に繋ぐこの展開ということは、いつもどおり #何を書いても最後は宣伝
 森田はぐみさんに表紙を描いていただいた。「会津ワイン黎明綺譚」も、お楽しみいただきますよう、お願いします。kindle unlimitedに対応していますので、加入されている方は、無料で楽しんでいただけます。
 この話、「あーーのさん」に届け!



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福島太郎
サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。