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かこに感謝し未来を夢見て #創作大賞感想文

 書き手として度々、悔しい思いを抱いてしまいます。読み手としては感嘆させられます。トゲルさんの記事は私の心を騒つかせます。
 ただ揺るぎなく思うのは
「読ませていただきありがとうございます」
という思いです。今回は「創作大賞2024」にエントリーしているこちらの記事の感想文になります。

 ノンフィクションの「聞き書き」です。実在された方の戦前から平成まで生き抜いたお話の記録を3回に分けて投稿されています。

 トゲルさんはこの他にも「聞き書きボランティア」として、何人かの生涯の歩みを書いていらっしゃいます。俗な言い方をすれば「地上の星」を救い上げ、遺し伝えようとしているように感じます。

 書き手としての演出や想像を加えないように自制しながら文字として残そうとしている姿勢は貴重で尊く感じますが、真摯な文体からは「スキでしているだけです」と、謙虚に語る著者の姿をイメージしてしまいます。

 さて今回の「凍てつく大地」ですが、個人的に1行目からぶん殴られたような衝撃です。
『大正12年生まれ、福島県郡山市守山町出身』
なんと、なんと、なんと「福島県郡山市」というのは私の地元なのです。しかも読み進めていくと、私が創作大賞に応募している「黒田製作所物語」と重なるような田村町、紡績工場、溶接などのキーワードが出てきます。

「そうそう、そういう時代だったんですよね」
と共感しつつ、
「トゲルさんのように、きちんと取材を重ね丁寧な表現をすることができなかった」
と我が身を嘆くことになりました。
 
 私はnoteに投稿する記事のタグで
#かこに感謝し未来を夢見て
を多用しているのは
「ちゃんと過去から学ばなくては」
という自戒を込めるタグなのですが、実践できていない未熟者です。それに引き換え
「過去から学び、伝え、より良い未来」
を創ろうと実践されるトゲルさんに敬意と感謝、書き手としての嫉妬を感じずにはいられません。

 「事実の聞き語り」という制約の原稿なので、剣や魔法、異世界などのファンタジーとか、愛憎入り乱れる恋愛・トリック満載なミステリーなどのエンターテイメント作品と比較したら、ドキドキハラハラの「面白さ」という点では物足りないと感じる方もいるかもしれません。

 けれど100年よりも短い過去に、戦争があり理不尽があり、人権どころか命さえティッシュペーパーよりも軽い時代があったようなのです。
 それでも先人たちは、命を護りより良い未来のために尽力され、人生を楽しみ続けたことを今に伝えてくれる作品です。

 人生は比較するようなものでは無いと考えていますが、それでも辛い時や悲しい時、絶望を感じた時に
「けど、人生を捨てたらもったいない。まだまだ幸せになる可能性はある」
そんなメッセージを伝えてくれるような人間讃歌の物語でした。

 読み終えた後に湧きあがるのは意欲。
「この登場人物はもとより、トゲルさんのような活動をされている方もいる。だから、俺もまだまだ、これから、未来のために次代のために、やれるだけのことをやらんと」
という気持ちにさせられました。

 善い作品を読ませていただいたことに感謝です。


黒田製作所物語はこちらです。


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福島太郎
サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。