【創作SS】非力面接をブンブンしてみる #毎週ショートショートnote
研究室は出入り自由で、教授が居なくても施錠されない。
秩序を乱す者が居ないのは教授の薫陶か、伝統かはわからない。
ゼミ長が独りで居ると、見慣れない男性が、少し遠慮気味に慣れた風情で入室してきた。
「OBの木元と言います。ここで教授を待たせていただいても」
「はい、出入り自由の伝統は生きてます。立石と申します」
初対面だが通じるものを感じ、木元は親しく話しかけた。
「講義の空き時間ですか」
「4年なので、ほぼ空き時間です。ただ内定が無く、卒業しても無職予定で泣いてます」
(この時期に内定なし⁈)
という言葉を木元は飲み込んだ。
立石は続けた。
「面接まで行きますが、成績非力で首をブンブン横に振られます。運、縁、恩を大事に、希望は捨てないですがね」
最後の言葉は教授を真似て戯けてみせた。
「退職して田舎に帰るので、教授に挨拶に来たんですが、採用計画に穴を開けたことが心残りでした。私と社を助けてくれませんか。縁を大事に希望を捨てないですよね」
立石は首を縦にブンブンしてみた。
(本文ここまで)
たらはかにさんの
#毎週ショートショートnote
裏の裏お題【非力面接をブンブンしてみる】に参加です。
シリーズ【教立大学物語】、教授が登場せずに「ゼミ長」とOB「木元」でお送りしましたー😊。
さて「木元」は新キャラではなくKindle出版している「恋する旅人」からシュシュっと参上していただきました。
そして参上と言えば「山上の三女神」をテーマにした「夢見る木幡山」もありますね。
ここ数日「何を書いても最後は宣伝」がありませんでしたので、久しぶりに宣伝です。
そうなのです、私にとりましては【秘密警察を宣伝してみる】よりも【著作を宣伝してみる】が重要なはずなのに、本末転倒、七転八倒、等々しておりました。
ちなみに、木元というキャラは、こちらに登場する「元宮ワイナリー」に転職していますが、こちらには登場しません。