沖縄旅行から旅へ
1960年代に円谷プロダクションで「ウルトラシリーズ」をプロデュースした「金城哲夫さん」の生家が沖縄に現存していて、敷地内に「金城哲夫資料館」があると知った2005年5月。一人で沖縄に向かった。
着いた日の午後に「金城哲夫資料館」を観覧して沖縄旅行が終わり、沖縄一人旅が始まった。
一説によれば「旅行」と「旅」の違いは「目的意識」にあるらしいので、目的を達成した瞬間に旅行を終えたことになる。
(さて、これからどうしようか)
レンタカー屋で貰ったペラペラな地図を見ながら、沖縄本島最南端にある「荒磯海岸」を目指すことにした。「最南端」という言葉の響きが僕の心を踊らせたのである。
ところが、近くに行ってわかったこと、なんと「荒磯海岸」まで繋がる道路は無かった。
ガッカリと途方に暮れつつ、代案として「喜屋武岬」を目指すことにした。そこに何があるのかを知らないまま、導かれるように車を走らせた。
看板も人家もない、畑の中の細い道を進み、行き止まりとなる駐車場に着いた。
そこには『平和の塔』があった。
かつて喜屋武岬で行われた暴虐を知った。
人の悪意、狂気の恐さに打ちひしがれた。
崖下には美しい海、遠くには荒磯海岸が在った。
2022年5月、再び沖縄、喜屋武岬を訪れた。
「水蝸牛さん」が描いた「ホロホロー森のキジムナ」の1巻と2巻を読んで、舞台となる「ホロホロー森」などの聖地巡礼をしたくなったのである。
偶然にも沖縄に着いた日に「ホロホロー森のキジムナ」の第3巻が発売された。
偶然にも、第3巻に登場する「潮渡橋」が予約していたホテルのすぐ近くにあったので、すぐに訪れた。
妖怪「ナカニシ」を呼ぶことは、怖くて出来なかった。
水蝸牛さんが「ホロホロー森のキジムナ」を描いたのは、平和な世界を目指しているからだとnoteで知った。
初めて喜屋武岬を訪れから、平和を求める旅を続けている。
どうすれば辿りつけるのかわからず、漂うような、彷徨うような、あてがない旅なのがもどかしい。
僕が生きている間は終わらない旅かもしれない。
けれど、誰かが辿り着けると信じている。平和を求める旅をしているのは、僕独りじゃない。
今は色褪せている『平和の塔』が、美しい空や海に負けないくらい、輝く未来が必ず来ると信じたい。
道を失いそうな時は、また喜屋武岬を訪れようと考えている。