【創作】眠い時には寝るのが一番
なんだかとっても眠いんだ。眠気ってのは難しい言葉では「睡魔」って言うらしい。僕の飼い主は絵を描きながら、しょっちゅう「うーっ睡魔が襲ってきた」と言って頭をぶんぶん振ったり、顔を洗ったり、怪しい飲み物を飲んだりしながら「睡魔と戦っている」らしい。
そんな姿を見ながら「人間は愚かな生き物」という言葉を想い出すんだ。僕の飼い主は「人間の雌」の中では賢い方だと思うけど、「戦いは虚しさしか残らない」という真理にたどり着いてないと思うとちょっとザンネンだと思う。
戦わない方が良いと思う、睡魔に襲われたら戦わないで謝ってしまえばいいと思うんだ。
「すいません」って。
だって昼間は「お仕事」って言いながら出かけちゃって、外が真っ暗になってから帰ってきて疲れた顔しながら「描かなきゃ、上手になりない」って、机に向かって睡魔と戦ってたら身体を壊すんじゃないかって心配になるよ。
決して、描いている時間があるなら僕と遊んでってやましい我儘じゃなくて、飼い主の体調が不安になるんだよ。僕が人間の言葉が話せたら
「眠い時には寝るのが一番」
って伝えたい。
けど
「描けたー!」
って万歳をしてキショクマンメンな笑顔を浮かべながら
「抱っこしてあげるからおいでー」
という顔は嫌いじゃない。抱っこして欲しい訳じゃないけど、頑張っている飼い主へのご褒美として、膝に乗り撫でさせてやることを拒むほど、悪い猫ではない。僕はスルスルと進み、飼い主の膝に乗ってやる。
自分から呼んでおいて、すぐに寝息を立ててしまう飼い主を「なんだかなぁ」とは思うけど。
「眠い時には寝るのが一番」
お疲れ様、少し休むといいよ。ただ、ちゃんとお布団で寝なきゃ風邪引いちゃうから、起きないようなら、ちょっとだけ爪を出すからね。
スースーという鼻息を背中に感じながら、絨毯よりもお布団よりも
「飼い主の膝が一番温かくて気持ちいい」
と思いながら、一緒にうとうとしてあげるんだ。一緒にいると幸せで、なんだかとっても眠いんだ。
(おしまい)
このお話はフィクションです、実在のイラストレーターさんをモデルにもしていません。
なお、設定としては、この猫は「人間の雌」は飼い主ともう一人しか知りません。
フィクションですが、読んだ方から削除要請が来た場合は下書きに戻しますこと、あらかじめお知らせいたします。
「削除ようせい?」、ようせいと言えば
#何を書いても最後は宣伝
「銀山町 妖精綺譚」ですね。
4年前に恋物語を男女の視点から描いた「題名のない物語」という作品をこちらの「恋する旅人」に収録しています。
創作大賞2025に向けて、この手法を使おうかと思案しています。「銀山町妖精綺譚」を銀山町役場企画課 高橋主任による一人称展開のリライトです。
需要は無いかもですが、私はワクワクしています。
今日もまんまる笑顔で善い一日を😊