【ショート・ショート】だって・・・加古川なんだもの。
加古川上流に住む活発・陽気な「ナンシー・アゼリア」。
仲間のハゼの化身で楽観的な「ゴン・しのはら」と平荘湖(へいそうこ)を根城にするマガモのボスでちょっと用心深い「オノエ・ヘイゾー」は加古川駅前の百貨店「ヤマト●シキ」で開催される夕方のタイムセールに行くため、ゆるり、ぶらりとSNSアップ用の写真を撮りながら、加古川を下っていくのだった。
だがしかし・・・。
のんびりと撮影や会話を楽しみながらもナンシーたち一行にちょっとした試練が・・・。
「ナンシーやん?うまい“かつめし”あるで」と最近オープンしたばかりの食堂を勧めてくれる親戚のアニキ。「ちょうど昼やし、えーやろ」とナンシーをさしおいてヘイゾーがOKの返事。
店を出て「揚げ具合とデミグラスソースがオレにぴったりや」とはしゃぐゴンが、川面ではげむレガッタ訓練を写真におさめていたら、
「えーこと教えたるわ」と割引価格をささやいてくる見知らぬオバ様の出現。近くの業■スーパーでの予想以上の割引情報に心を奪われつつも「先を急いでるので」とふりきり、しばらく行くと国道沿いの畑で草刈り作業をしていた初老の男性の声。
「なにしてんのん?」
ナンシーたちが事情を説明すると、「ワシがいっぱい教えたるわ、そんなもん」と、ナンシーたちですら初めて聞くフォトジェニックなスポットを『長々』と教え始めるのだった・・・。時間を気にしながらもメモして礼をいい、気を取り直して近道を進むと今度はザリガニ取りの少年が・・・。
「これは時間、間に合うんか?」マガモのヘイゾーは心配しながらナンシーを促すも、ゴンは「まあええやろ、ヤマト●シキは逃げへんで」と、この期に及んでも時間を気にしない、ダイナミックなポジティブさを発揮。
3名は撮影を兼ねた気楽なウォーキングのつもりが、地元民の良く言えば人懐こい、悪くいえば、あつかま・・・。いや、やめておこう。休日の心はゆる〜く、おおらかに行こう。そう思い直して一期一会を楽しみつつ、足取りも軽く加古川駅前へ向かうのであった。
あの有名な歌を口ずさみながら。「オッ・ オッ ・オッ・リッバーサーイド♫」「オレ、知らんわ、その歌・・・」「ヘーソー」「ビンゴ!」などと。