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ちょっとラーメンでも・・・。

こう言って、お腹を空かせた高校生の「ボク」らが下校途中によく立ち寄ったラーメン屋さんは、高校を卒業してしばらくの後、閉店してしまった。お店は引き継がれることなく、見た目はシンプルだけど美味しいと評判だったその味はもう二度と食べられない。

そんな記憶があるから、というわけでもないけれど、比較的近くに美味しいラーメン店の噂を耳にするとついつい足が向く。近くなら、また高校生の時のような好みの一杯に出会えたら、ふらりと立ち寄れるかも、とどこか思っているからかもしれない。

その中で、ここ数年は比較的近い兵庫県西脇市周辺の播州ラーメンに落ち着いている。その中の2軒をご紹介。

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これまで色んな地域で、個性豊かな美味しい一杯に出会ったけど決して負けていないと思っている。知名度こそ高い「博多とんこつ」や「喜多方」「和歌山とんこつしょうゆ」など有名なラーメンは数々あるけど、播州の「甘いしょうゆ味」はユニークでまろやか。なにしろ甘い。そして深みがあると思う。成り立ちは諸説あって真偽はさだかではないけど、昭和30年代に、この地方の主力産業だった織物工場に勤めていた女性たちに合わせて甘くなったというのが一般的。量も少なめで見た目もシンプル。ひたすら味で勝負、と潔い。成り立ち通りなら当時は物資も豊かではなく入手しやすい材料で仕上げていたのかな、と推察している。

県外の古い友人なんかが訪ねてきた時「ボク」は、
「ちょっとラーメンでも」という。大体がラーメン好きだから「あ。いいねー」と返ってくる。
味のことは何も言わずに連れて行き、世間話しながら、どんな反応をするかを確かめた様子を紹介する。

 世間話→一口食べて→ちょっと世間話の続き→一口つけて→
 「あれ、美味しいな、これ!」(驚いた顔)

といった反応。今まで10人位に試して大体がこんな感じだったが、中には無反応なのもいた。^^; まあ無口な照れ屋ということで・・・。ちなみに「甘い」ということで「やっぱりとんこつがいいや」なんて好みの差はもちろん・・・あった。

さらに、ひとつ断っておくと、播州ラーメンのお店は一部を除き、とても古い建物で、知らない人が行くと大半は驚く。一度テレビに取材されてたのを見たことあるけど、テーブルの上に置いた卵だったか、ゴルフボールだったか忘れたけど、止まらずに転がるシーンが。お店は古いけど味は良いという変な演出までされる始末。もし訪れることがあれば頭に入れておく必要が・・・。

ただ、これまでのところ、高校生の時に出会ったあのラーメンの味にはまだ出会えてないので、またいろんな食べ歩きをしてみたい。でも、あの店が営業していて、今、口にしても「ボク」自身がお腹をすかせた高校生ではないから、当時のようにうまい!と感じることはないかもしれないし、「思い出だから美味しい」のかもしれない。案外「今」が良くって「昔」より、はるかにレベルアップしていることが、世の常だから。




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