ニコニコ老人会RUSTで文化勝利を目指した亀戸組振り返り(たろちん視点)
そんなわけで7月26日~28日までの3日間、「ニコニコ老人会RUST」という祭りに参加させてもらいました。なんか、色々すごかったですね。
上の記事でも書いたとおり、あんまりRustのゲーム性を理解しないまま参加してしまったんですが、思った以上にガチで戦争をするゲームでした。思てたんと違った。「ゲームのついでに名前は知ってるけど絡んだことない人と同窓会する感じかなー」というテンションで臨んでしまったため上手く戦争の流れに乗れず、みんながロケランぶっ放して殺し合ってる中、裸で釣りとかしてる謎の部族プレイに終始してしまいました。「どうしてお話もせずに撃ってくるんだ……」とか言って泣いてた。場違いですみません。
ただまあ、結果として戦時下の市井の人々の日常を描いた『この世界の片隅に』みたいな体験ができて、楽しかったり時にはグッときてちょっと泣いたりしました。敵を殺してスカルを奪い合うゲームで非武装地帯を築き、映画や音楽を愛する「文化勝利」を目指した亀戸組の3日間を振り返ってみます。
1日目 「イオンシネマ亀戸」開業
7月26日18時にサーバーがオープン。開始前から亀戸組愛好家のルーツはこの祭りに亀戸組が参加することに感極まってもう号泣していました(ルーツ枠第1夜10分ごろ~)。今回のニコニコ老人会、色んな意味で泣いちゃった人がいたと聞いていますが、多分これが一番早いと思います。
ログイン後、とりあえずこういうゲームのセオリーである拠点づくりを開始。そしたら映画大好きおじさんのルーツが「俺はイオンシネマを作りてえ」と言い、看板にデッドプールやキングダムの絵を描き始めました。
その後、MSSPと幕末坂本さんの襲撃を受けるも上映中のキングダムをお楽しみいただき、ルーツが今後の『亀戸お遊び組』でこの出来事を漫画化すると約束することで見逃していただく(第1夜3時間35分ごろ~)。
このへんで今回の「文化勝利」路線が確定しました。あんなゲームちゃんとできるやつらとまともに戦っても勝てない。
実際、イボーン合流後に世界をうろうろしてみましたが文明もエイム力も歯が立たず、クマとかの野生動物にも全然太刀打ちできないレベルでだいぶ心を折られた。お隣の湯毛さん、ズズさんらは幸いなことに大変友好的でその後も色々とお世話になりました(第1夜6時間24分ごろ~)。
湯毛兄(にい)に介護してもらってはるしげさんチームにも会いに行きましたが、彼らは既にこの世界に染まり切っており殺意をむき出しにして笑っていて怖かったです。時代が人を変える。私はそう思って涙しました。
2日目 音楽の力で「愛と平和の祭典」開催へ
翌日、フジロック配信を見ながらふと思い立って調べたらRustには楽器が作れるDLCがあることを知り購入。さらなる「文化」の発展を目指します。俺たちはこの殺し合いの螺旋から降りる……!
愛と平和の祭典「ウッドストック・フェス」を再現すべく作業をしていたら、すぎるさんが遊びに来てくれました。楽器をあげたらお礼に水(亀戸チームにはない文明)をくれたり地下鉄ツアーに連れて行ってくれた。15、6年ぶりに話せて嬉しかったです。
あの頃(2008~2010年くらい)のニコニコの人、ずっとネット通じて見てはいるけど直接接することはほとんどない「近くて遠い存在」なので、こういうのきっかけで話せるとなんか不思議な喜びがある。まさに同窓会ですね。元々こういうのやる大会だと思ってたし、やりたかったのですごいよかった。
その後、永久師範代しんすけ氏から「坂本同盟に入らないか」と通電。まあなんかそうやって遊ぶゲームらしいし、師範代が言うなら行ってみるか、となったものの、現場の人々があまりに戦争ガチ勢すぎて全く所在がなく、秒でイオンシネマに帰った。
実は裏で師範代も全く同じようにここでバイト初日状態になっていたことをあとで知る。この日の師範代視点は本当に1本の映画を観るようなドラマがあったのでおすすめです。1人のレジェンド実況者が今まで明かさなかった胸の内まで吐露する奇跡のような「作品」です。
で、イオンに帰ったらわりと今回のハイライト的なシーンが生まれる。加藤純一軍の捕虜にされるなど、そっちはそっちで色々大変な目にあったらしいゆゆうたさんらが逃げてきてフェス会場にたどりつき、ピアノを置いてあげたら懐かしの組曲『ニコニコ動画』をフル尺でガチ演奏してくれました(第2夜4時間47分ごろ~)。
ステージに上がってきて熱唱するタイプの酔っ払いのおじさん(ルーツ)と一緒に聴き入っていると、完全武装したわいわい&三人称チームの皆さんもやってくる。こっちは全員裸で音楽を聴いているだけなので殺してスカル剥ぎ放題の状況だったんですが、あまりのヒッピーぶりに情けをかけて手出しせずに帰ってくれました。
あとで三人称さんたちの視点見たら「この人のスカルは持ってないけどどうする?」とかわりと殺す気で近づいてきてたっぽかった。「この空気じゃ無理か」となってやめたらしい。ちゃんとゲームやってる人にちゃんとやってない側が許されたという意味で、まさにこれはRustにおける文化勝利だったんじゃないかと思います。
このゆゆうた演奏会がうわさになってイオンシネマ亀戸の認知が広まったっぽい。おかげでその後、わりと平和主義的な人が遊びに来てくれるようになりました。
また、そのあとに師範代がやってきて心境を吐露したシーンは亀戸組としてのハイライトシーンでした(第2夜5時間36分ごろ~)。このニコニコ老人会RUSTでの立ち振る舞いについて「色々やってみたがわからなくなった」という言葉は、プライベートでもあんま見たことないくらいしんすけさんが本音で話している感じがして驚きました。
その後、プライベートの消防団活動を終えたイボーンが合流。そこでもちょっと「こういうゲームの楽しみ方って人によって違うから難しいねえ」みたいな話をした。
僕らもそれこそ15年前とかは若さと時代ゆえの尖りがあり、こういうコラボとかを「馴れ合いはつまらん」みたいに思っていた時期があった。当時の視聴者もそういう風潮だったというのもあるし、今もまあ各々そういう思いはあると思う。
でも個人的なことを言うと、最近はもう人がちょっと優しかったり穏やかだったりするだけで「よかったなあ」「ありがたいなあ」という気持ちになり、刺激的な楽しさ面白さとかなくてもそうやって死ねたら幸せなんじゃないかと感じてきている。そのへんはちょっと前に膵臓ぶっ壊れて死にかけたことが影響しているのも間違いなくある。ニコニコとかじゃなく、ちゃんと老人になろうとしているということですね。
なので戦争のゲームであったかい交流が生まれたり、「仲良くできると嬉しいね」みたいな話をしていたり、上記の師範代配信の生き様とかを見ていたらなんか泣けてきて、配信終わってから深夜に1人でちょっと泣きました。初日のルーツといいおじさんの情緒、おかしくなりがち。
3日目 非武装第3勢力によるニコニコクルーズ
昼間、ゆゆうたさんたちが騙されて捕虜にされた切り抜きを見てこの世界の真実を知る。そのあとすぎるさんの配信でひげおやじさんのブルーベリー畑を育てているのを見て、世界には二面性があることを知る。
ログインしたらちょうどトシゾーさんがイオンシネマに観光にきていたので楽器を差し上げて交流する。その少しあとの湯毛兄やフジさん、2日目の囲炉裏さんなど、来た人に楽器をあげる楽器屋さんごっこが楽しかった。やってたこと多分ストグラに近い。
戦時下の日常として釣りを楽しんでいたらたまにNPCのスカルが釣れることが判明。「名前入りのスカルだからポイントになるのでは……?」というルールの穴をつく発想にたどりつき、サマンサだのジェレミーだのといった骨に「こいつは3つ子実況者だった」などニコニコ老人としての設定を付与して楽しむ。
そんなことをしていたら師範代が来て、戦争に敗れたはるしげさんも来て、いつの間にかいつものメンバーになっていた。さらにナポリチームのみんなやはるしげさんチームのぞのがみミノルさんも集まってきて、みんなで焚き火を囲んで歌を歌ったりする茶番が始まった(3日目4時間30分ごろ~)。
ロケランを本来の用途ではなく茶番のオチに使うみたいなの、なんか亀戸組でやっていたValheimの遊び方そのまんまだなあと思った。Rustという新しいゲームでどうすればいいのかわからず、自分たちにできるやり方を探した結果、最後は亀戸組以外の人も同じように遊んで笑っている空間にたどりついた。なんかグッときました。
はるしげさんが戦地からパクってきた船に乗って船旅に出たらまた次第に人が増えていって、みんなで戦争の愚かさを叫んだり、ひげおやじさんのベリー畑を見届けるために走ったりしているときに、ルーツが望んだ「(しんすけさんを旗印に)俺たちが第三勢力になろう」という形が実現した感じがして、なんかすごく感慨深くなりました。マジで戦争の中での人のつながりの尊さとか温かさに触れた気持ちになった。
このへんはRustというゲームにガチで取り組んで緊張感のある世界観を演出してくれた全参加者のみなさんのおかげだと思う。強者と弱者があり、裏切りや騙し合いなどなんでもありのマッドマックスなルールだからこそ、緊張と緩和の効果がより強調された。普通に老人会としてのんびり交流しましょう、というイベントだったらお互いこんなに感情的になることもなかった気がします。
最後もイオンに遊びに来てくれた非公式ズのみなさんとセッションをする幸せなエンディングでした(第3夜6時間52分ごろ~)。マジのウッドストック感あってめっちゃいい。
おわりに 「亀戸組、最高!」
亀戸組って2008年当時は「荒くれ」だの「羅刹」だの治安の悪そうな感じで語られることもありましたが、実態としてはクラスに馴染めないタイプの陰キャが文化祭の空き教室(当時のニコニコ)に集まってはしゃいでいただけで、本当の陽キャやヤンキーとは性質が違う集団です。あと藤原も言ってたけどその割には変に頑固な部分があったりする。
だから意見とかはバラバラで協調性とかもそんなに無いんですが、そういう互いの“性質”へのシンパシーだけは感じていて、それでつながってるんじゃないかなと僕は思います。僕は。多分他の人は「そうじゃねえ」って言うかもしれないけど。
今回、初めてこういう外部の人たちがたくさんいる場所に参加させてもらって、正直こういうの慣れてないし向いてないけど、1人1人が自分にできる立ち回りでなんとかしようとめっちゃがんばっていたように思う。そして「なんだかんだ亀戸組のメンツってちょっといいとこあるな」と思ったんじゃなかろうか。
亀戸組は別に実況グループでもなんでもないただの界隈の呼び名(重要)ですが、戦争から帰ってきたはるしげさんの「やっぱり俺も亀戸組だったみたい」って言葉を聞いたときに、この16年間で生まれた連帯のようなものを感じました。
慣れない長時間配信とかしてくたびれたけど部活の合宿みたいな心地よい疲労といい思い出になった感があります。またなんかあればみんなでやりたいです。亀戸組、最高!
↑亀戸組のことはこのへんのマガジンや記事にまとまっています。よかったら合わせてどうぞ